厚労省は12月3日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会で、介護報酬改定についての基本的な考え方を取りまとめた、たたき台を提示した。
【介護老人福祉施設】
介護老人福祉施設については、要介護度の高い高齢者を中心とした生活重視型施設として、介護が困難な者に対する質の高いケアを実施する観点から、認知症高齢者等が一定割合以上入所しており、入所者数に対し介護福祉士を一定割合以上配置している施設を評価するとともに、基準を上回る夜勤職員の配置を評価する。
さらに、入所者の重度化などに伴う医療ニーズに対応する観点から、常勤の看護師の配置や基準を上回る看護職員の配置を評価するともに、看取り介護加算については、重度化対応加算の要件のうち看取りに関する要件を統合するとともに、施設内における看取りの労力を適切に評価するため、看取りに向けた体制の評価と看取りの際のケアの評価を別個に行い、重度化対応加算は廃止する。
なお、これらの評価にあたっては、比較的小規模な老人福祉施設について、実態調査の結果を踏まえ、その経営規模による影響に着目した介護報酬上の対応を行う。また、外泊時費用について、介護老人保健施設などと同様に、評価の適正化を行う。
【介護老人保健施設(介護療養型老人保健施設を除く)】
介護老人保健施設については、入所者の在宅復帰支援機能を強化する観点から、次の見直しを行う。
介護老人保健施設の夜勤の職員配置については、現在の配置実態を踏まえ、夜間の介護サービスの質の向上および職員の負担軽減の観点から、基準を上回る配置を行っている施設に対し報酬上の評価を行うとともに、介護老人保健施設における実態を勘案し、看取りについて報酬上の評価を行う。
在宅復帰支援機能加算については、介護老人保健施設における在宅への退所者の割合に応じた段階的な評価を行う。
リハビリテーションマネジメント加算については、「PDCAサイクル(問題点や課題を解決する過程)」の流れを評価したものであることなどを踏まえて本体報酬に包括するとともに、入所後間もない期間に集中的に行うリハビリテーションを推進する観点から、短期集中リハビリテーション実施加算の評価を見直す。
加えて、介護老人保健施設における言語聴覚士の配置の実態を踏まえ、人員配置基準上、言語聴覚士を理学療法士および作業療法士と同等に位置付ける。
また、事業の効率的な運営を可能とする観点から、支援相談員の人員配置基準について見直しを行う。
入所者を試行的に退所させ、介護老人保健施設が居宅サービスを提供する場合に算定する試行的退所サービス費については、その算定実績などを踏まえ、退所時指導加算の一部(退所が見込まれる入所者を試行的に退所させる場合)として算定することとする。
外泊時費用については、利用者が入院・外泊期間中において居室が当該利用者のために確保されているような場合は、引き続き居住費を徴収をすることができることや、必要となるコストの実態を踏まえ、その評価を適正化する。