厚生労働省は12月3日、第61回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、2009年度介護報酬改定に向けた各サービスの報酬・基準見直しの基本方向を示した「たたき台」を提示した。各サービスに共通する検討事項として、地域区分の見直しに触れたが、現行の5区分(特別区、特甲地、甲地、乙地、その他)となっている地域の区分方法については、今回は見直さないとした。

現在の介護報酬の地域区分は、直接処遇職員の人件費に相当する部分について、国家公務員の調整手当の級地区分を基本として地域区分を設けている。結果、介護従事者の給与は地域差が大きく、大都市部の事業所ほど他地域より収支差率が低く、給与費割合が高くなっている傾向が問題視されてきた。

現行の介護報酬に反映させる人件費率のサービス類型は、40%(施設サービス、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション)と60%(訪問介護、訪問入浴介護、通所介護など)の2つに区分され、地域差を勘案する職員の人件費割合に乗じる上乗せ率については、特別区12%、特甲地10%、甲地6%、乙地3%となっている。

見直しでは、地域差を勘案する職員の範囲は、現行の「直接処遇職員(介護職員、看護職員など)」から「人員配置基準で配置を規定されている職種の職員(ケアマネジャー、生活相談員、理学療法士、栄養士など)」に拡大する。

また、中山間地域でサービスを提供する小規模事業所は、規模の拡大や経営の効率化を図ることが困難であり、人件費割合などが高くならざるを得ず、経営が厳しい状況にある。現行は、離島や豪雪地帯など人口密度が希薄であり、交通の便が悪いといった地域に所在する事業所が行うー定のサービスについて、特別地域加算(サービス費用の15%)が加算されている。

今回提示されたたたき台では、中山間地域のうち、現行の特別地域加算対象地域以外の半島振興法指定地域(交通の便が悪いなど離島や辺ぴな地域)で、小規模の介護事業者が訪問介護などの一定のサービスを提供した場合について、報酬上の評価を行うとした。