厚生労働省は11月14日、第58回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。今回は2009年度介護報酬改定について、居宅系と地域密着型サービスについてが議題となった。日本介護支援専門員協会の木村隆次会長は、「平成21年4月介護報酬改定にあたっての提言」を提出し、ケアマネジャーを国家資格とすることや加算要件についての要望を公表した。

介護支援専門員は、利用者の幸せづくりと実現したい生活を支えるため、介護保険制度の要として、この日本にケアマネジメントを確立するべく業務をしています。多職種協働によるケアマネジメントを徹底すれば、認知症になっても、ひとりで暮らしていても、入院することになっても、退院するときも、利用者が安心して住み慣れた地域で暮らすことが可能になります。また、過不足のない適切なサービスを必要な人に提供することにより、国民が負担する社会保障費は適正なものになっていくと確信しています。

介護支援専門員には高い倫理観と絶えざる研修が必要であることを認識し、さまざまな努力を重ねてきました。平成18年改正介護保険法施行において専門職として唯一、資格の更新制度が導入されました。今後さらに制度の中枢で重責を担うためには、現在の任用資格から国家資格にする必要性があります。

今回の改定にあたっては、事業所が構造的に独立でも、法人の併設でも、利用者本位のケアマネジメントが適切に行える担当件数において経営が成り立ち、それを持続できる抜本的な改定を強く要望いたします。介護支援専門員が、正職員・常勤専従でケアマネジメント業務を行うことにより、家族で暮らせる収入を担保できる報酬としていただけるようにお願いいたします。

以下に、有限責任中間法人日本介護支援専門員協会が会員に対して実施した利用者状況調査や、都道府県支部に対して行った報酬改定の意向調査をもとに提言をさせていただきます。

■1.居宅介護支援費について
(1)基本単位について
要介護1~5を同じ基本単位として「一本化」し、さらに基本単位を上げていただきたい。

(2)加算について
1.「初回加算(I)」の「新規」の定義を明確にしていただきたい。
たとえば利用者が入院して退院した後、再び担当する場合は、初回加算(I)を算定できるのか不明である。

2.「入所時情報提供・連携加算」を創設していただきたい。
入院入所時に介護支援専門員が医療機関、介護保険施設に生活機能や暮らしの情報を提供することにより、利用者は退院退所後の生活を見越した、より適切な医療を受けることができる。生活の連続性を重視する視点から、情報の連携を図ることは重要である。

3.「退院退所時連携加算」を創設していただきたい。
利用者がが最も不安になる退院退所時に、生活をよ<知るなじみの介護支援専門員が率先して必要なサービス調整を図ることにより、円滑な居宅生活への移行ができる。診療報酬との整合性を図る必要もある。

4.認知症利用者支援加算」を創設していただきたい。
認知症利用者は、家族や地域の人たちおよび関係機関など多方面からの情報収集や、本人との頻回・長時間にわたる相談に応じることなど、多くの時間が必要で費やされている。

5.「ひとり暮らし支援加算」を創設していただきたい。
ひとり暮らしの利用者には、別居の親族や近隣の住民など多くの人たちからの情報収集や、本人との暮らし全般の相談に応じる必要があるため、訪問が頻回になり相談時間も多く費やされている。

6.特定事業所加算の要件緩和について
公正中立に中重度者に対してしっかり対応しているにもかかわらず、算定できない。それぞれの要件について見直しをする必要がある。

7.「要介護度維持・改善加算J を創設していただきたい。
ケアマネジメントをした結果、利用者の要介護度が維持・改善した場合の評価をしていただきたい。

8.給付を伴わないインフォーマルサービスのみのケァプランを評価していただきたい。
ケアマネジメントをした結果、介護保険外のサービス調整をしても報酬に結びつかない。さまざまな社会資源(インフオーマルサービス等)を有効活用する共助の視点も重要であり、その結果として介護給付費の節減にもなる。