2025年の医療・介護費、消費税4%分必要 国民会議


 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は23日、2025年の医療・介護費用について、「あるべき姿」に改革を進めた場合、消費税換算で4%分の追加公費負担が生じるとの試算を公表した。現行の5%に、基礎年金の国庫負担を2分の1にする財源として1%を見込むと、消費税率を10%に引き上げる必要がある。麻生首相は23日、こうした試算ももとに消費増税の議論に踏み出す考えを示した。

 国民会議が5月に公表した基礎年金を全額税方式にした場合の試算も合わせると、年金・医療・介護をまかなう25年の消費税率は13.5~20.5%になる。

 小泉政権以降、政府は社会保障費の伸びの抑制に主眼を置いてきたが、今回は医療・介護のサービス提供体制について「あるべき姿」に改革を進めた場合を軸に試算した。入院患者を減らして在宅医療や在宅介護を増やす「医療から介護へ」という流れに伴って体制を充実させる政策転換を前提にしている。

 現在41兆円の医療・介護費用は、25年時点で91兆~94兆円になる。このうち公費負担は30兆円で、現在より14兆円増加。負担増分を消費税で賄おうとすると4%分に相当する。改革を行わず現状の体制を維持した場合も試算しているが、この場合、25年時点の費用は85兆円程度に増え、このうち公費負担は27兆円。消費税を3%分引き上げる必要がでてくる。

 改革を進めた場合のシナリオは、入院患者数を減らし、平均入院日数を引き下げるため、医療・介護従事者を増やすことが前提になる。医師数は27万5千人から最大で34万1千人、看護職員は132万2千人から206万4千人、介護職員は117万2千人から255万2千人との大幅増を見込む。従事者全体では385万人から倍近い684万4千人に増加する。

 試算は15年時点で必要な財源も試算しているが、改革、現状維持のいずれのシナリオでも公費は消費税1%分、保険料は3兆~4兆円増程度にとどまっている。高齢化の進展により、15年以降、必要な財源が急激に増える形だ。社会保障の安定財源の確保には、25年時点まで見通した制度設計が必要。首相は基礎年金の全額税方式について「よい方法と考えている」と前向きで、年金・医療・介護の財源確保のための消費増税論議を加速させたい考えだ。