『来年4月の介護報酬改定に向けた議論が9月18日、厚生労働省の「社会保障審議会介護給付費分科会」(会長=大森彌・東大名誉教授)でスタートした。今後のスケジュールを説明した厚労省側に対し、大森会長は介護報酬改定案の諮問・答申の時期を前回の1月下旬よりも早め、年明けにすることを提案。老健局の鈴木康裕・老人保健課長は「なるべく市町村にご迷惑を掛けないよう、なるべく早めに結論を出すことも考えられる」と回答した。

この日、厚労省が示した「今後の検討の進め方(案)」によると、

9月に「事業団体等ヒアリング」を実施し、10団体から意見を聴く。

10月は介護従事者対策などを、

11、12月は居宅サービスと施設サービスを中心に議論する。

12月中旬に、報酬・基準に関する基本的な考え方を取りまとめ、

来年1月下旬に介護報酬改定案の諮問・答申を行う。

このスケジュールに対し、大森会長が「最終的な諮問・答申が1月下旬になると、市町村はまた大わらわになる。わたしの希望は、正月明けに諮問・答申をしてしまうことだが、これは可能か」と質問した。

鈴木課長は「12月末の政府予算の決定と同時に改定率が決まる」と前置きした上で、次のように回答した。
「年末・年始の調整の具合にもよるが、(スケジュールで示した)議論が12月前までにある程度こなせているのであれば、(諮問・答申の時期を)1月下旬よりも早めることができる。なるべく市町村にご迷惑を掛けないよう、なるべく早めに結論を出すことも考えられる」

大森会長はまた、「最近の介護サービスの実情を踏まえると、改定率をどう想定するかは非常に大事」と指摘した上で、「どのようなスタンスでやるか、現時点での考えをお聞きしたい」と質問した。
老健局の宮島俊彦局長は、介護保険法第1条で定めた「目的」や、第2条の「介護保険の定義」を挙げた上で、「介護保険法の目的や理念に照らして、非常に大事な時期を迎えている。財政当局に対して、介護保険を取り巻く実情について説明している。今回の改定は、これまでとは違った方向でお願いしたいと考え、折衝している」としながらも、具体的には「この会議で意見を頂きながら対応したい」と述べるにとどまった。

この日は、5つの関係団体からヒアリングを実施。東京都と高知県の担当者のほか、「日本リハビリテーション病院・施設協会」会長の浜村明徳氏、「日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)」会長の木村憲司氏、「日本福祉用具供給協会」理事長の池田茂氏が意見を述べた。