「蒼穹のファフナー EXODUS」のTV放送が始まりました。
一騎の髪はこれまでよりも長く、たおやかに、大人っぽくなり、総士は前よりも
おでこがよくみえる髪型になりました。イラストだけだと、ちょっと見、別の
キャラみたいなデザインのふたりですが、画面のなかで動き出せば、なるほど
一騎と総士でした。
むしろ以前の総士の髪型にそっくりなのは、立上芹。最初のシリーズ、毛量多め
の前髪の奥でニコニコひとなつっこい笑顔を浮かべていたころと比べると、別人
といってもいい姿です。
三人以外にも、「EXODUS」では、これまでのシリーズに登場していた人物の外観
がおおきく変化しています。西尾里奈からは、でっかいおさげがとれていたり、
堂馬広登は佐々木望さんの声がよく似合う顔立ちになっていたり。
「EXODUS」と最初の「蒼穹のファフナー」とのあいだには、作品内でいえば5年、
作品外でいえば、いまや11年。けっして短くはない時間の重さが、作品のそこここに
刻まれています。正直いうと、この画面に映っているのがむかしからのキャラ
なのか新キャラなのか、瞬時には判別できないときもチョイチョイあります。
けれど、むしろ彼や彼女を初めて知るぐらいでもいい、それでじゅうぶんに
楽しめる物語に、第1話『来訪者』はなっていました。
駄菓子屋の家の子であり、白を基調とした制服を着た年代のなかで、先輩たちと
後輩との中間の立場にいる西尾里奈。目立ちたがりで、でも心根はいいヤツな
堂馬広登。仲間うちではツッコミをいれるポジションにいる立上芹。彼女に
はとても大切に想っている少女がいる。
キャラクター名が字幕で表示されることもないし、ドヤ顔で名セリフをいうでも
ない。まぁ広登はもともとドヤ顔のひとなので、さておいて。それでも、そういう
インスタントに情報を伝える方法とはちがった、ひととひととのあいだで、時間
を積み重ねておこなわれるやりとりのなかで、彼や彼女の特徴が語られていました。
むかしからのキャラクターたちも、水鏡美三香ら新しいキャラクターたちも同じ
ように。分け隔てなく。
冒頭で登場した人類軍のファフナーパイロットたちもまた、ただフェストゥムの
強さを説明するためのカマセ犬なんかではなく、それぞれけっこうクセのある、
ファフナーでの戦いかたにも個性のある、愛すべき人物たちであることも、こんご
Blu-ray、DVDに収録されることになる完全長尺版では、じっくり描かれてい
ます。
そして。第1話で忘れてはならないのが、過去につらく苦しい体験をしながらも、
陽だまりのなかにある「楽園」という店で、天使みたいにやわらかく微笑む黒髪
の青年の姿。これまでを知っている視聴者にも、前のシリーズとかこれまでの
設定とかしらない！という視聴者にも、彼がこの作品の中心にいる人物であること
が、自然にわかるかたちで伝えられていました。
むかしなじみのものと、新しいもの。自分と同じ者と、自分たちとは違う者。
どちらかをゼロにするのではなく、どちらもそこにあるものとして受け容れ、
そのうえで始まる新しい物語「EXODUS」。新しい視聴者も、むかしからの視聴者も、
同じように知らない、新しい航海が始まりました。
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