「ブレイクブレイド」の世界の中心と片隅のあいだ | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

「まるで、壊れた刃」。「ブレイクブレイド」第一章で、ナルヴィは整備中の
デルフィングの頭部をみて、言う。シギュンは、デルフィングの巨体に秘め
られた古代人の技術に知的好奇心を刺激されている。一見、冷静なようで
も、彼女はかなり高揚している。ライガットの顔ともうすこしでゼロ距離
になってしまうくらいに。トゥル将軍は、動かないゴゥレムは戦争には必要
ないと、あくまで実際的だ。だしぬけに動き出した古代巨兵のことを、誰
もが持て余している。そのすぐそばでライガットは、おだやかに笑っている。

地下施設でホズルと話していたライガットは、偶然のように、あるいは何か
に導かれるようにして、デルフィングの操縦席に座った。そこにあった
スイッチを押し、レバーを引き、ペダルを踏むことで、ライガットは初めて
乗るゴゥレムの動かしかたを覚えていった。伝達石英に触れるだけでエル
テーミスの手足を動かすことも、拡声器を操作することも出来るゼスとは
まったくちがう、頭と体をすべて使うようなやりかただった。
ライガットはゼスや世界の大多数の人間のように「魔力」は使えない。
それでも生き延びるためには、いま、このゴゥレムを動かさなくてはなら
ない。その意志が、彼の頭と体を自然に動かしていた。

「まるで、壊れた刃」。そう言われて、ライガットが思い出したのは、戦い
のあと、ゴゥレム数台がデルフィングを輸送車両に載せるようすだった。

もしも、リィがデルフィングに気をとられていなかったら。もしもホズル
がライガットを連れて、地下施設を訪れていなかったなら。そんな運命の
可能性なんて考える暇もないくらい、輸送車両のまわりで兵士たちは戦場
の事後処理や連絡で、忙しそうにしていた。
デルフィングはとりあえず安定の良さそうなところにワイヤーを引っ掛け
られて、扱われていた。巨大人型兵器というよりは、まるでおおきな荷物
のように、ぞんざいに。どう見たって主人公メカの扱いじゃなかった。

誰にも扱えないまま、ハンガーに据え置かれたデルフィングのすぐそばで、
ライガットはおだやかに笑う。そのとき彼の心を占めていたのは、誰も動かす
ことの出来なかった古代巨兵を動かした感慨や、自分への全能感などでは
なかった。戦いのあとの誰も気にしないようなささやかな、けれどふしぎ
と心のやわらかい場所に触れるような、そんな風景だった。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
キャラクターデザイン 乘田拓茂
メカニックディレクター 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC


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