特別な日 |   僕は天使じゃないけれど 

  僕は天使じゃないけれど 

ダウン症&ヒルシュスプルング病を生まれ持ったハヤ(11歳)と、天邪鬼ハヤママの、正直なブログです。

散歩の途中に立ち寄った神社は
七五三のお祝の家族連れで賑わっていた
カメラ片手に微笑む家族たち
綺麗に着飾って
元気に走り回る子供達
生き生きとした親子の姿が
秋の陽に眩しい




ふと視線を戻すと
ベビーカーで横になり
お尻から管を入れ
舌をベロベロして遊んでいる
でこっぱちのハヤ
この子がこうして無事に生きていて
傍らにいるということは
やっぱりありがたいことなんだと思う
それは、純粋にそう思うけれど・・・

夢見ていた夢が
夢のままで終わって
あたりまえに夢を叶えた
他人の笑顔が眩しい




「ダウン症児なんて、なかなか産まれないのに。」
つい口をついて出てきてしまう愚痴
隣には、にーちゃんがいる
いけない、いけない、と
続く言葉とため息を、一緒に飲み込んだ

嫌味も含めて自分に呟いた独り言を
やっぱり、聞いていたにーちゃん
何でもないことをお話するように、一言
「かーたんは、どっちも産まれたねっ!」

健常児が生まれることも
ダウン症児が生まれることも
同じ、赤ちゃんが生まれること
どちらが良くて、どちらが悪い、なんていう
偏りは、微塵もない呟き返し

”健常児が生まれなかった”んじゃなくて
”どっちも生まれた”だけ



ベビーカーからハヤを抱き上げ
境内をちょこっと歩いてみる
秋の陽の下
抱っこで歩いてみる

めったに見ない景色に
小さなお目めをくりくりさせて
嬉しそうなハヤ
私の服の裾を掴んで
不格好なスキップで進むにーちゃん

涼やかな風に吹かれ
いつも通りの服を着て
ただの、散歩
秋の神社の境内を
ただ、散歩



穢れを知らないにーちゃんの言葉は
時に、神社のおみくじより
穢れた私を諭してくれる

今日は特別な日ではないけれど
何でもない毎日が
毎日、特別
冴えない貧乏な日々だけど
家族の笑顔を抱きしめて生きる
特別な毎日のうちの、1日