敗北 | 僕は天使じゃないけれど
私が近くに来たというだけで
嬉しそうな顔をして
脚をバタバタさせるハヤ
大好きをいっぱい乗せて
ジッと見つめるつぶらな瞳
言葉なんて無くても伝わることを
信じきっておしゃべり
飽きずに笑顔を誘う
愛らしいしぐさ達
やわらかに君を胸に抱く
抱きすくめた体温
頼りなく、袖を掴む手のひら
こてん、と頭を預けて
一点の不安も持たない
安心した瞳
自分がダウン症だから、
なんて思っていない
母親に愛してもらえると
信じて疑わない瞳
約束された明日を疑わない瞳
穢れない小さなハヤが
汚れた私を穏やかに抱きすくめる
その瞳には、勝てない