柳家喜多八さん | 辻明佳のナイフとフォーク

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旅、お料理、ときどき女優。

久しぶりに無性に寄席に行きたくなって
お気に入りの噺家さんたちの出てる寄席はないかなーと調べていたら
私が寄席を聴くきっかけになってくれた
柳家喜多八師匠が亡くなっていたことを知りました。

気だるげに、くそ面白くもなさそうに登場してはしんどそうに枕を語り、
でもいつの間にかぐいぐい客席を引き込んでゆく様が見事で、すぐに好きになった噺家さんでした。

仏頂面からはじまったとは思えないノリノリのおバカ芝居や、仏頂面だからこそ生きる、抑えた演技の中で豊かに表現される人情の機微。
結局、生では2回しか拝聴できんかった。

これで、この演目ごと大好きになった『棒鱈』
いなかざむらいが酔っ払って歌い出したときの芸者さんの愛想笑いで爆笑したなあ。

『代書屋』も面白かったなあ

ここ一年ほど、スケジュールを探してもなかなか見つからないなあと思っていたんですが、もしかしたら療養中だったのかしら。
66歳、早すぎるよなあ。。。
御冥福を心よりお祈りします。

ご存命のうちにもっともっと聴きに行けばよかったと思うとともに、
落語も、演劇も、
生でこそ本当のよさが伝わる芸能であり、
その人とともに生き、一代かぎりであっさりときえてゆく芸であるのだなあと
あらためて思い出しました。

いつかまた、はもう来ないかもしれない。
好きな人、好きな舞台には
好きなうちにどんどん会いに行こう!
そして、会いに来て!!

とまあ、そんなように思ったしだいであります。