崎陽軒シウマイ弁当 | 辻明佳のナイフとフォーク

辻明佳のナイフとフォーク

旅、お料理、ときどき女優。

崎陽軒のシウマイ弁当の素晴らしさを書いておこうと思う。
photo:01


俵型のもちもちごはんに、黒ごま。
その真ん中に青梅。
冷めてなお、ここまでの食感のおどろきは、他のおべんとではまだ見ない。

もちろんシウマイ。
点心ってそりゃもちろん熱々じゃないといけないもんだけど
シウマイだけは別だよね。
おべんとに入る率ダントツだから、
冷めてこそ、
というプライドを持っているところがよい。
崎陽軒のシウマイは、その筆頭。

サイドメニューとして、
鶏のから揚げと
ぎしぎしのブリかな、サワラかな、のつけ焼きに
たまごやき、かまぼこ。

これらがまた、どれも動物性たんぱく質のくせに
主役のシウマイをうまーく引き立てる用の
シンプルであっさりした味つけになっているわけ。

「箸休め」という言葉の意味を私にはじめて実感させてくれた
甘めに煮つけた角切りのたけのこ。
こんぶの佃煮、紅ショウガ。
特にこのなにげないしゃきしゃきのたけのこには
他のおかずとのバランスを追い尽くした
老舗の格調すら感じる。
そうそう、歯ごたえ、ほしかった。

そしてこの、牛丼でもないのにぽっと紅ショウガが添えられているのが
なんともいえずよい。
食べない人もいるかもしれない。
食べるとして、何と一緒に?
あるいは何の合間に?

こちらの食への取り組み方を試すかのような存在なのである。
これまで考えてもみなかったものとの紅ショウガの相性をも
発見させてくれる。

ひととおりを冒険のように食べおわって
最後にとっておくアンズがまた
予想外にふっくらやわらかくとろけて、
甘すぎずフルーティー。
うっとり。

かくして熱いお茶とともに
崎陽軒シウマイ弁当という体験は
まるで懐石料理のような、なんか、フルコース食べた感をのこして
幕を閉じるのであります。


というわけで
辻へ差し入れしたいという奇特な方、迷ったら
ごはん系ならシウマイ弁当大喜びします(笑)
いやいや、来ていただけるだけで大喜びします!

明日も19:30からお待ちしております☆