ただ何も残さず吹き去った
疾風のようで


カサコソと
音を立てて


其処には燻んだ赤や黄色の
たくさんの暖かな彩りが残された


ニット帽で
耳を隠したわたしは


次から次へと
降り重なる枯れ葉に


自分を重ねて
また重ねて


忘れずにいることってあると
その想いも重ねていた


忘れられないくらい
人を想えたのだから


そんな幸せって
あるだろうか


深い傷跡に瘡蓋が重なって
いつのまにか剥がれていた


通り過ぎる日々を
重ねるたびに


少しは
わたし


強くなれたかな
優しくなれたかな








蜜柑
( 2020.11.24 )
( 2023.11.20 改 )