求人増でも賃金上がらず
医療や介護などサービス関連企業が雇用を大幅に増やしたが、こうした分野で働く人の賃金はむしろ減っている。雇用のサービス業シフトが賃金相場を押し上げる米国とは逆の動きだ。非正規雇用の賃金の安さやがんじがらめの規制を背景に、賃金があがりにくい仕組みが定着している。(原文まま)
2012.6.24.Sun 日本経済新聞引用
このように現在日本の多くのメディアでは、この規制を緩和していこうとする動きが強い。しかしながら、我々がこれに賛成するか否かは、この規制がどういったものであり、どのような効果をもって賃金が上がりにくい仕組みを定着させているのか知ってからでも遅くはないのではないだろうか。また、この規制緩和が本当に賃金の底上げにつながるのか、そして先に述べたメリットだけでなくデメリットを知ってから賛成するか否か判断することが大切であると主張したい。
それではまず始めに医療における規制の内容と効果について触れる。現在日本では公的医療制度ないし選定医療制度によって医療サービスを行なっている。
公的医療制度とは患者の病状・病例に対して厳格に定められた基準に基づき医師の診断が行われるということにある。つまり、当事者である患者が決めることが出来るのは基本的に受診だけであり、さも医師側であるサービス提供者が独占的状況で診断を決め、高額の医療費を催促できるようなシステムに見えるが、実際には医師側も国の制度による厳格な基準により(患者がより高いサービスを受けようと主張しても)より質のいいサービスの提供ができず、また多くの医療費の催促ができない=賃金の安い状況を生んでいる。
選定医療制度とは、こういった状況を打破するために一部公的医療制度が緩和されたものである。患者に選択を委ねたほうが適当であると国が範囲と条件を厳格に規定した領域であり、患者が選択した場合には、より高いサービスの提供=より高い医療費の徴収ができるシステムである。しかしながら薬剤や材料の使用方法が細かく規定されており、こうした規定は現場の医師にとって納得できず、患者の利益を損なうためあまり利用されず、結果医師側の賃金改善も行われていない。
以上が日本医療が成長分野にも関わらず賃金が上昇しない理由である。
それでは次に規制緩和の内容とメリットとデメリットを主張する。こうした現状の規制を緩和する動きとして現在「混合診療」を歓迎する主張がメディアで行われている。これは選定医療と違い無条件でよりよい医療サービスを受けられるものだ。確かにこうなることで医師によるよりよいサービスの提供とより高い医療費=賃金を得られることになるだろう。しかしながらデメリットも存在する。多くのデメリットは存在するがもっとも一般的で我々消費者側に関係することがらとしてひとつ挙げるとしたら、我々消費者=患者は一般に危険回避型の行動をとるので、医師から勧められた場合には、ほとんどの患者はそれを受け入れてしまい、必要以上の医療費を搾取されてしまうのである。確かにこの方法を取り入れれば日経新聞がいうように賃金は上がるだろう、しかしながら我々消費者=患者は必要もない医療費を本当に払っていくことが正しいと思っているのだろうか。今一度ご一考していただきたい。
参考:
医療保険の給付範囲を巡る論点-混合診療と特定療養費制度(慶應大教授/池上直己)
引用:
日本経済新聞2012.6.24.Sun(総合経済面-求人増でも賃金上がらず)
