店長になって3ヶ月。
ずっと一人で戦ってきました。
系列店はメンバーは表面上は仲良いですが、ずっと探り合いの騙し合い。
近隣の協力店のメンバーの方が仲良いが、所詮は他店。
目に見えない孤独の中、私にようやく信頼できる部下ができました。
きっかけはタクヤからの紹介でした。
タクヤの行きつけのBARが閉店する事になり、そこで働いてた従業員をタクヤがヘッドハンティングしました。
しかし、タクヤのお店はもう既に人が足りてるので、私の店を紹介されました。
本日の18時、私の出勤時間に合せてお店に来るとの事でした。
私はその日、早る気持ちを抑えきれず、1時間前には店に着きました。
そして17時45分頃、真向かいにある店の駐車場に小綺麗な軽自動車が止まりました。
そこから長身で細身のホスト風の男が出て来ました。
・・・コイツか。チャラそうだな・・
男は私を見るなり会釈をし、元気よく挨拶をしました。
「おはようございます!今日から働く事になりましたリュウヤです!よろしくお願いします!!」
その声を聞いた瞬間、先ほどの"チャラそう"というイメージはかき消されました。
とても爽やかで嫌味のない挨拶でした。
「どうも!よろしくです!はーもです」
「はーもさんですね!タクヤさんと社長からお話は伺ってます!よろしくお願いします!」
それがリュウヤとの初対面でした。
年齢は20歳。
風俗業は未経験。これまでは建築、ホスト、バーテンと様々な職種に携わってきたそうです。
身長185cm、スラッとしたスタイルだがやや筋肉質。
茶髪の長髪で何も考えてない若者に見えましたが、声の感触、雰囲気、表情からは何か一本筋が通っている若者に感じました。
リュウヤは働いてたBARの閉店が決まり、次の職場を探そうとしたところタクヤに声を掛けられたそうです。
また、リュウヤがいたBARは風俗業者ご用達なので、他店とも顔が知れててやり易いです。
「いやー、風俗は行った事も無いので未知の世界です!怖い事だらけですが沢山リピーター増やせるように頑張ります!」
一瞬、私はハッとしました。
リピーターを増やす・・・
ここ最近の私は、とにかく客をさばく、それしか考えてませんでした。
客商売として大切なものを、リュウヤは思い出させてくれた気がします。