話を詳しく聞くと、独立とはいっても"完全独立"ではないようでした。

社長が初期費用を出資して、毎月純利益の2割を献上するという、いわゆる【フランチャイズ】形式でした。

タクヤは仲の良い他店のメンバー3人と意気投合して思い切ったとの事です。

ちなみに初期費用は約200万ほど。格安です。

何故この費用で収まったかというと、以下の要因がありました。

・敷金礼金なしで賃貸契約
・居ぬき物件
・必要な内装は自分達で


以上です。コレだけでも200~300万くらい抑えきれます。
私の街ではソープランドの家賃相場が50~80万です。
立地、部屋数により増減します。

ちなみにタクヤが借りた店舗は6部屋の待合室2部屋のオーソドックスなスタイルです。
家賃は70万。
風俗街の入り口にあるので、客の目にとまりやすい絶好な位置にあります。

「楽しみだけど、怖さもあるなー」
「まずは売上トントンから目指すかなー」


タクヤはいつもの屈託のない笑顔で語ってました。

・・・イイなぁ。俺も独立したい

その頃から私は少しずつ独立を意識し始めました。


タクヤは独自のパイプでスカウトマンを使い女の子を集め、
どんな客層でも受けるイケイケなスタイルで営業し、
なんと独立して1ヵ月で黒字を叩き出しました。


「俺もこの街長いけど、初月で黒字出すのは滅多にいないですよ」

アキラがそう教えてくれました。

「でも俺たちが客送ってるのもデカいからね」

・・・やっぱコイツ一言多いなぁ

アキラは何かと自分が凄いと言いたい人でした。
フランチャイズとはいえ、売上の少しは社長の懐に入るので、
お客さんが余ったら優先的にタクヤの店に送ってます。

・・・お互い協力しあい、それがいい結果を産む

私はとても素敵な環境で働けてるという充実感がありました。








しかし、ココは風俗街。欲望の街。
 

お互い協力するというお花畑の理想は

 

徐々に徐々にと崩れていくのでした。