旦那は何だかんだと言い訳をして出掛けた後だけは嘘を誤魔化すように機嫌良く話し掛けてきた
見え透いた嘘ばかり
疑いながら暮らす毎日だった
でも証拠は見つけることはできなかった
ある週末の朝、旦那が出掛けた後だった
いつも小物を置いている棚の上に目をやるとレシートやゴミやらが置いてあり
そこにライターが紛れていた
片付けようと何気なく手にしたライターには見覚えのある文字があった
義実家から近い場所にある何度も前を通ったラブホの名前
慌てていて何も考えずにポケットから必要のない物だけを出していったつもりだったのだろうか
私は見つけたかった証拠のはずなのに
趣味の仲間に借りただけ
それをそのまま持っていただけ
そう自分に言い聞かせた
問い詰めることはしなかった
旦那の口から本当のことを聞くのが怖かったのかもしれない
私たちの夫婦の財布は別々だったけれど
口座やクレカの明細は私も確認できるようになっていた
お金が頻繁に引き出されていた
普通の使い方ではない
Mと不倫しているに違いなかった
だけど決定的な証拠がない
探偵に頼んで証拠を揃えて別れるほどの決心もできていない
事実を突きつけられるのが怖かった