ダーバンの青年と海で戯れる〜南アフリカ旅vol.4〜 | Remember who you are.

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摂食障害からの解放

海で泳ぎたいけど、流石に一人ではしゃげるほどのガッツはない。

 

友達や家族と楽しそうに海で遊ぶ人々を、砂浜で座って眺める東洋人。

いやホントに、私を見てはニーハオしか言ってこない。

 

ノーニーハオ。

イエスコンニチハ。

 

私もアフリカの人々を見ても、どこの国の人か見分けがつかないのと同じように、

アフリカの人も、アジア系の顔を見てはみんな中国人だと思っている。

 

中華街ができるほどだから、アフリカに住んでいる中国人も想像以上に多いのかも知れないな。

 

 

そんなことを考えながら、海を眺める。

 

海、入ってみたいな。

 

 

そこへ二人組の青年が近づいてくる。できれば話しかけてほしくない。

と同時に、その時はやっぱり一人が寂しくて、仲間が欲しいと思っている。

 

「oh, Chinese!ニーハオ!」

 

あ、私中国人じゃないです。

 

否定するのも億劫で、危うく無視してしまうところだった。

 

こうして現地の人と話せることが楽しくて、嬉しいことのはずなのに、

何を無理しているのだろうか。

 

少しずつコミュニケーションを取っていく。

私がどこから来たのか。ダーバンに来た理由。いつまで滞在するのか。

 

発音が難しくて、彼の名前さえ思い出せないけど、

でも、教えてくれた。

 

ダーバン出身の彼。

いつか、外国人と話すのが夢だったそう。

 

「僕に話すチャンスをくれてありがとう。」

 

そう言った彼は、私と同じ22歳だった。

 

 

つまりナンパなので、5分も経たないうちに電話番号を聞かれたが、

あいにく私は携帯電話をホテルに置いてきていたし、

 

すぐに教えてしまうほど、口は軽くない😉

 

それよりも、私は海に入りたい。

彼と一緒に入れたのなら、なんて素敵なんだろう。

 

そう伝えると、一緒に行こうと言ってくれた。嬉しかった。

 

人生で初めて、エスコートしてくれた。

緊張したけど、間違いなくこの瞬間がダーバンで1番の思い出となる。

 

二人でお互いのことを話しながら、波を越えようとする。

大きくジャンプするんじゃなくて、少しだけ跳ねるんだ。

 

手を繋いで、何度も同じことを繰り返す。

 

ああ、こんな風に愛されたい。

 

全てを理解できるほど、私の英語力は備わっていないけど、

伝えたかったし、知りたかった。

 

携帯を持っていなかったから、写真も撮れなかった。

名前も忘れてしまった。

別れ際に連絡先も伝えたけど、もう連絡は来ない。

 

国境を超えて生まれた友情。ほんの僅かな恋心。

 

 

次の日もホテルまで会いに来てくれた。ホテルまで入って来ちゃったし。

入ってきちゃダメだろ。でも、もう会えないと思ってたからびっくりしちゃった。

二人で話してると、ホテルの従業員が疑って彼を追い出した。

 

私だってまだ疑っている。というか、信じちゃいけないでしょこんなの。

海で遊んだ記憶だけを、大切に取っておきたいんだ。

 

 

従業員が、私を呼ぶ。

彼とは一体どういう関係なのか聞いてくる。

君の責任だけど、個人情報をなんでも教えてはいけないよ。

何があるか分からないから、慎重にね。

安全第一だ。

 

そう言って、一対一で話してくれる従業員にも、心を打たれる。

めっちゃ心配してくれるじゃん。守ろうとしてくれるじゃん。

 

拙い英語で伝えてみるけど、難しいね。

 

一旦外に出て、22歳の青年と話す。

もっと会って話したいけど、みんな心配してるの。

あなたを疑ってるの。

私もずっとここにいるわけじゃないから、もう会えないかも。

 

こんな会話さえも、ダーバンの海に溶け込んでいく。

 

そんな悲しい顔をしないでほしい。

彼は何度も同じことを言っていた。

 

「君と話せてよかった。

話すチャンスをくれてありがとう。」

 

 

一夏の恋心。濃い思い出。

 

話しかけてくれて、ありがとう。