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あらすじ
本好きの作家がつづる、心躍る読書エッセー ひとりひとりの人生が重なり合い、関わり合っただれかの時間が縫いつなげられ、無限へ、永遠へと広がっていく。本が、物語がある世界とは、なんとすばらしいのだろう。この本は、まるごと物語にのみこまれることの至福に満ちた、すべての本とすべての本を必要とする人へのラブレターだ。著者は語る――「収録してある本はほとんどすべて、読みたくて読んだものであり、読んでみておもしろかった本ばかりだ。こんなにも世界にはたくさんの本がある。私はこれらの活字を追いながらじつに膨大な、幸福な時間を過ごしてきた。その幸福な時間が、この一冊には詰まっている」

 

ひと言
私の好きな角田さんのおすすめの本がたくさん紹介されていて、これからの本選びの参考になりました。
佐野洋子さんなどは、「佐野洋子のエッセイは中毒になる。一度読めばもっともっと読みたくなって、新刊が出れば飛びつくように買う。私は二十年も前から佐野洋子中毒者である。なぜか。この人のエッセイには本音しか出てこないからだ。私たちはこんなにも本音に飢えているのだと、佐野洋子の文章を読むたびに思う。」と書いてあり、今まで読んだことのない作家さんですが、角田さんが中毒とまでいうのだから読んでみたいという気持ちになります。他に

 

 

伊藤比呂美 「あのころ、先生がいた」 「女の絶望」
佐野洋子 「シズコさん」 「問題があります」
島本理生 「君が降る日」
鴨居羊子 「鴨居羊子コレクション1~3」

 

 

なども是非読んでみたいと思いました。

 

 

 

生きることは困難で厄介で理不尽で残酷なことだ、というのは、この作家の基本的な捉えかたである。太宰治の小説のなかで、生きることそのものがきらきらした何かであると書かれているものはないのではないか(遠く彼方にきらきらしたものを見ることはあっても)。この小説でもそうである。家は売らねばならず、スウプを美しく飲むお母さまは亡くなり、かず子は生活を突きつけられ、そしてどうしようもない既婚者に行き場のない恋をする。泥のなかにずぶずぶと入りこんでいく。けれどかず子ぱ、その泥のなかで顔を上げる。困難で厄介で理不尽で残酷な、「生きる」ことを受け入れる決意をする。
なんて強い小説だろう。この強さを二十年前はわからなかった。感動というのは、共感や共鳴とイコールだと思っていた十代の目には、わからなかったのだ。
(強い小説 太宰治『斜陽』)

 

 

 

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