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あらすじ
直木賞授賞パーティの翌日、受賞作家は成田にいた。隣には何故か、人間に化けた作家の愛猫・夢吉が…。彼らが向かったのはイタリア・トリノ。まさに冬季オリンピックが開かれているその地だ。指さし会話で国際交流をしながら、驚きと感動に満ちた観戦旅行が始まった!冬季スポーツとオリンピックをこよなく愛する著者が描く、全く新しいオリンピック観戦記。

 

ひと言
読み終わった後、トリノオリンピックっていつだっけ?ウィキペディアで調べた。
2006年2月10日から2月26日にイタリア・トリノで行われた第20回の記念大会。日本勢は113人という大選手団を送り込みながら、メダルはフィギュアスケート、荒川静香の金メダル1個だけにとどまった。そうそう「イナバウアー」という言葉が流行語大賞になったなぁ。

 

 

「実際に五輪会場に乗り込んでみて感じたことは、日本は奇妙な国だということだ。韓国や中国のようにアジア人であることを自覚して特化することもなく、ひたすらに欧米人と同じことをやろうとしている。様々な会場で俺たちは、『なんでこんなところに日本人がいるんだ』という目で見られたよな。嘲笑や冷笑といったものまで浴びた。殆どの選手がゴールインした後、ようやく競技場に入ってきた日本人選手を見て、辛い思いをしたのも事実だ。それは世界における日本の立場を象徴しているようにさえ思えた。場違いなところに無理して出て行って、奇異な目で見られている。だけど俺は、そんな日本選手に感動したんだよ。クーベルタンの、『参加することに意義がある』という言葉の意味が生まれて初めてわかった。俺たちはここにいる、忘れてもらっちゃ困るぞ――それを堂々と主張できる場所が五輪なんだ。日本にも冬があり、雪が降り、池の凍る場所はある。だから冬季五輪に出て行く。国として、ふつうのことなんだ。メダルを獲れそうな種目だけじゃなく、二十位や三十位とかでがんばっている選手たちにもっと光を当てれば、冬季スポーツヘの関心度も変わってくると思うんだけどな」(6)