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あらすじ
私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである――。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人はすべてを許しあって結婚した、はずだったのだが……。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは? 傷つき傷つけられながらも、愛することを止められないすべての人に贈る、純度100%の恋愛小説。

 

ひと言
図書館でこの本のあとがきを読んで借りようと思った。
無機質で、透明感のある恋愛。こういう結婚があってもいいんだ、と思った。なにも求めず、なにも失うものなどなく、だからなにも恐れない。女の人が好きそうな小説だと思う。それにしても これを「ごく基本的な恋愛小説」と言ってしまうところが江國さんの凄さなのかもしれない。

 

 

あとがき

 

 

普段からじゅうぶん気をつけてはいるのですが、それでもふいに、人を好きになってしまうことがあります。ごく基本的な恋愛小説を書こうと思いました。誰かを好きになるということ、その人を感じるということ。人はみな天涯孤独だと、私は思っています。
……。……。
率直にいえば、恋をしたり信じあったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇です。それでもそれをやってしまう、たくさんの向う見ずな人々に、この本を読んでいただけたらうれしいです。
 一九九一年、春                                江國香織