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あらすじ
10代で誰にも「思春期」が来るように、「更年期」は、ホルモンや神経伝達物質の減少などに伴い男女を問わず訪れる、人生の転換期。「うつ」や「内科系の病気」と誤解されがちだが、放っておくと40代以降の男性のQOLを大きく損なう上、仕事の効率が下がってリストラ対象になりかねず、社会的生命をも危うくする。しかも、この時期わうまく乗り切らないと、肉体も精神もどっと老け込んでしまう。著者「老化する」シリーズ第三弾は、精神医学とアンチエイジング医学の側面から「男性更年期を賢く乗り切る生活習慣術」をわかりやすく説く決定版。どうしたら“老化の勝ち組”になれるか―その答えが本書にある。

 

ひと言
図書館でこの本を見つけたとき、「へぇ 男にも更年期があるんだ」と思った。
最近頑張っているダイエットでの栄養不足からか、少し精神的に不安定になることがあったが、この本を読んで、自分も更年期かもしれないなと思うと少し気が楽になった。
この本に書かれていることを参考にして、男性更年期をうまく乗り切りたい。

 

 

40代~50代で肥満体が増えるのは、男性ホルモンの減少の可能性が高い。この世代で「めっきり太ったなぁ」と自覚している人の中には、乳房がふくらんできたような気がしている人も多いのではないだろうか。これも男性ホルモン(テストステロン)が減ってくるためである。

 

 

医学的にいえば、男性更年期障害とは「男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下したことで身体的、精神的、性機能的に発生するさまざまな症状」ということになる。テストステロンには筋肉を増大させて男らしい体を作る働きのほか、造血作用や動脈硬化を防ぐ作用があり、もちろん性欲や精子の形成など性機能にも関わっている。さらに精神にも多大な影響を及ぼしている。一般に、男性ホルモンの多い人は攻撃性が高いといわれるが、冒険心や競争心を高める働きもある。

 

 

40代、50代はセロトニンなどの神経伝達物質が減るために、うつにかかりやすい。そのセロトニンの材料となるのがアミノ酸のひとつ「トリプトファン」だ。これは体内では作られないので、食べ物から摂るしかない。そのトリプトファンが豊富に含まれているのが肉類だから、「肉を食べると元気が出る」のは根拠があったのだ。

 

 

男性ホルモンの分泌も食事に左右される。その生成に亜鉛やホウ酸といったミネラルが必要なのだか、体脂肪のことばかり、ダイエットのことばかり気にしていると摂取量が足りなくなって、バランスを欠いた食事になるのは明らかだ。「草食男子」「草食系」と呼ばれる、おとなしい若者の増加も、その背景にはおそらく貧しい食生活による栄養不足があると私は考えている。

 

 

男性ホルモン値が下がると、内臓脂肪が増える。ダイエットを「摂取カロリーを減らして、消費カロリーを増やすこと」だと理解している人は、よほどきちんと栄養を計算して摂取しないと、「やせる」のではなく「やつれる」ことになる。中高年の場合、そこで老化が進んでしまう。というのも、食べることをガマンして、より多く運動しようと頑張ってしまうと、カロリーだけに目が向いて、たんぱく質や脂肪、酵素やビタミン類など、必要な栄養素が足りなくなっていく。余分な脂肪を減らそうと食事を制限しつつ運動すると、筋肉を減らしてしまうことが非常に多いのだ。筋肉の量は基礎代謝と関係しているので、筋肉が減るとカロリーが消費できなくなってますますやせにくく、太りやすい体になるのである。さらにいえば、消費カロリーを増やす運動=有酸素運動と思われているが、有酸素運動は体を酸化させる(錆びさせる)活性酸素も大量に発生させるので、細胞レベルで老化を進めてしまう両刃の剣だ。活性酸素対策とセットでほどほどに行わないと、やせて若々しくなるつもりが逆効果になりかねない。

 

 

運動にはもうひとつ、ホルモンの分泌を活性化するという効果もある。以前から、高い強度の運動で、成長ホルモンがたくさん出ることが知られていたが、男性ホルモンも同じように分泌が盛んになることが明らかになってきたのだ。ただしどんな運動でも成長ホルモンや男性ホルモンが出るわけではなくて、翌日は筋肉痛になるくらいの強い運動というところがポイントだ。減ってしまった男性ホルモンを補う方法として、医療レベルで行われているのはホルモン補充療法(HRT=hormone replacement therappy)で、日本ではおもに注射によって投与されている。だがその手前の段階で、日常生活の中で男性ホルモンを増やせるのだから、試みる価値はある。