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あらすじ
ともに90歳を迎える二人が、大震災で感じた日本人の底力、生きる意味、自らの「老い」と「死」について縦横に語り合う。読めば元気の出る対談集。

 

ひと言
先日、角田光代さんの曾根崎心中を読んだとき、ふと瀬戸内寂聴さんのことが思い出され、それでこの本を図書館でかりた。5月で91歳になる寂聴さん、いつまでもお元気で、宇野千代さん(98歳)よりも長生きしてください。

 

 

瀬戸内 この歳ですから、死を考えないことはありません。ただね、死ぬときのことは怖くないの。そんなに苦しまないと思う。というのも、その昔、宇野千代さんが長生きしたいと努力なさっているのを見て、「なんでそんなに長生きしたいんですか」とお訊ねしたら、長く生きると、秋の木の葉がはらりと自然に落ちるように、命が尽きる。痛くないし、苦しまない。「だから私は長生きしたいのよ」とおっしゃったのが頭にあるんです。若いとまだ本当は死ぬ命ではないから、体が逆らう。それで苦しいそうなんです。だから私も、生ききって、はらりと落ちる。それがいいなと思って。(第四章 「老」「死」と向きあう)