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あらすじ
母は目に見えない何かに怯えはじめ、兄嫁はとめどもなくしゃべり続け、赤ん坊は鬱陶しい泣き声を響かせ、昔の男はストーカーになった。癒しようのない孤独を抱えた私の毎日を描く表題作 ほか、「真昼の花」を収録。

 

ひと言
図書館の角田さんの棚でこの本を見つけ、あれこんな本があるんだ、奥付をみると2000年1月発行。初出は1999年6月、角田さんは1967年生まれだから、32歳のときの作品になる。読了後なんかすっきりしない。しばらく角田さんの作品は封印。

 

 

何かを得るには何かを手放さなければならないとはよくいわれることで、実際そのとおりなのかもしれないが、自分が何を得て、何を手放してきたのか、私にはまるでわからない。ただひとつ、ものごとがかわり続けていくその真ん中に、かわったりかわらなかったりしつつも自分がいて、日々、おちこんだり笑ったりし、来週にはかわってしまうかもしれない何かを切実だと思い、何かに深刻に向き合っている、そんなことを思うと、時間の流れの中にぽつんといる自分といる自分というものが唯一、私に測量可能のささやかな永遠であるような気がして、どことなく安心してしまうのだ。(あとがきにかえて)