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あらすじ
「名前は?」「リリカ!」なんて、答えてはみたけど大嘘。あたしの名前は桐之宮稲荷だ。稲荷山の高層スラムに住み、アゴに貼った絆創膏の下には、「ウガ」という役立たずの自称神さまも住まわせている。あたしはそんな生き方をしている可愛い十八歳の女の子!…でも娼婦なの。ここはかつて、経済大国なんて呼ばれていた日本の古都があった場所、中華人民共和国、日本省特別行政自治区。あたしたち日本族は最下層の民族と成り果て、過去の栄光が埋もれた世界で、なんとか生きぬいていかなければならない。衝撃の未来を舞台に、健気に生きる娼婦の姿をユーモラスな一人称で描く鮮烈なデビュー作!
第9回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。

 

ひと言
本の帯の「鴨川ホルモー」万城目学に続く新鋭登場という言葉に借りて読みました。設定としては面白いと思いますが、その設定である必然性や何かの伏線になっていると感じることはできませんでした。ただあとがきの
そんな人たちとふれあうなかで、どんなに腐った世界でも、その中に希望を見い出すことが「生きる」ということだと教えられた。それが『お稲荷さんが通る』の世界観と登場人物たちの基礎になっている。どんなに腐った世界でも、どこかに必ず希望はある。そう信じたい。けれど世界は、希望を見つけることがどんどんと困難になっているように思える。どんなに小さなものでもいいから、希望を見つけるきっかけになる。そんな小説を書き続けていきたい。
という言葉に、今後の作品を楽しみにしたいと思いました。