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あらすじ
1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか? 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか? これらは、「正義」をめぐる哲学の問題なのだ。社会に生きるうえで私たちが直面する、正解のない、にもかかわらず決断をせまられる問題である。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー
"Justice: What's the Right Thing to Do?"、待望の邦訳。

 

ひと言
早く借りて読んでみたいと思っていた話題の本をやっと読むことができました。本書でも出てくる「汝の意志の格律が、つねに同時に普遍的法則となるように行為せよ」(イマヌエル・カント)ああこの言葉、高校時代に倫理社会で習ったなぁ。35年経った今でもよくわからないなぁと思いながら読ませてもらいました。「暴走する路面電車」や「マイケル・ジョーダンの金」など具体的な例を引いて説明してくれるのはとてもいいのですが、内容が難しいのと、アメリカ人と日本人の感じ方・考え方の違いもあり「ん?…」と読み返すこともしばしばで骨の折れる本でした。理解できたとは思いませんが、それなりに楽しめる本でした。
この探求の旅を通じて、われわれは正義に対する三つの考え方を探ってきた。第一の考え方では、正義は功利性や福利を最大限にすること(最大多数の最大幸福)を意味する。第二の考え方では、正義は選択の自由の尊重を意味する。自由市場で人びとが行なう現実の選択(リバタリアンの見解)であれ、平等な原初状態において人びとが行なうはずの仮説的選択(リベラルな平等主義者の見解)であれ。第三の考え方では、正義には美徳を涵養することと共通善について判断することが含まれる。もうおわかりだと思うが、私が支持する見解は第三の考え方に属している。(第10章 正義と共通善)