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あらすじ
かつて読んだことのない感動の形がここにある。「どこかの誰かが、この鳥を必要としている」舞台芸人の一瞬の輝きを一羽の鳥に託した表題作ほか、父との不和に悩む娘やイジメにあう男子高校生の葛藤から、人類の行く末、そして神の意志までを、持てる芸のすべてを注いで描き尽くした《希望の書》。
誰よりも小説を愛し、誰よりも小説に愛される芸人、太田光がついに作家デビュー!

 

ひと言
本の帯の ここに似たどこかで、僕たちに似た誰かに起きた〈9つの奇跡〉わざわざナイン・ストーリーズとルビがふってあり、ナイン・ストーリーズ?サリンジャー?と思いながら読んだ。想像していたよりもよかったが、改行や「…」を多用しているのと、口語で書かれてところが少し気になった。次の、ほんとうに直木賞を狙えるような作品を楽しみにしたい。
「芸人が、なぜ、自分の芸をお客に見せたいと思うか。わかるかい?」
「お客を喜ばせたいとか、楽しませたい、なんて言うのは、後から付けた理屈だよ。一番の理由は、この客には、今、自分が必要なんだって、確認したいからだ。自分の芸を見て、一人でもお客が笑ったら、その客に自分は必要とされているって信じられるんだよ。芸人は、いつもその確認をるために舞台に上がるんだ。客を幸福にする為じゃない。自分が幸福になる為に舞台に上がるんだ。…俺のあの鳥は、本当にたくさんのお客に必要とされていた。そしてあの鳥は、まさしく、俺の鳥だった。だからこそ、この世界は俺を必要としたんだ」(マボロシの鳥)
「桜は全然迷わない。見てください」老人の指さす先には桜があって、何千もの花びらが風に舞っていた。「あんなに綺麗なのに。きっと、まだこれからもっと綺麗になるのに。もう散ってしまうんだなあ。きっとたまらなくなって散ってしまうんでしょうね。もっと他に行きたい所があって、留まっていられないんだろうなあ。もっと遠くの遠くの方へ飛んで行ってしまいたくなるんだろうなあ」(地球発…)