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あらすじ
生まれつき乱暴でいたずらが過ぎ、両親にかわいがられなかった坊ちゃん。唯一、細やかに面倒を見てくれた下女の清と離れ、一人で四国の中学校に赴任した。しかし、江戸っ子で生一本、無鉄砲に育ってきたせいで、田舎での生活は我慢ならないことばかり。同僚教師との衝突に、東京へ帰ることも辞さないが…。波瀾万丈の日々をユーモアたっぷりに描く、不朽の名作。

 

ひと言
お盆明けに松山の道後温泉に行く予定なので、こどものころを思い返しながら読みました。
無鉄砲な正義感は、やっぱり爽快です。
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。……。小使に負ぶさって帰つて来た時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと言ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。」
「おれはここへ来てから、毎日住田の温泉へ行く事に決めている。ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。…… 温泉は三階の新築で上等は浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む。その上に女が天目へ茶を載せて出す。おれはいつでも上等へはいった。すると四十円の月給で毎日上等へはいるのは贅沢だと言い出した。よけいなお世話だ。…… ところがある日三階から威勢よく下りて今日も泳げるかなとざくろ口を覗いて見ると、大きな札へ黒々と 湯の中で泳ぐべからず とかいて貼りつけてある。」