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あらすじ
江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。日本独自の太陰暦を作り上げること。武家と公家、士と農、そして天と地を強靱な絆で結ぶこの計画の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれながら安穏の日々に倦み、和算に生き甲斐を見いだすこの青年に時の老中・酒井雅楽頭が目をつけた。「お主、退屈でない勝負が望みか?」渋川春海の二十二年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋。みずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。
2010年 第7回 本屋大賞受賞

 

ひと言
さすが今年の本屋大賞第1位、そして自分が好きなジャンルの小説ということもあり、たいへん楽しく一気に読ませてもらいました。2009年の本屋大賞で惜しくも第2位になった「のぼうの城」の成田長親、そしてこの渋川春海。誰にスポットを当てるかによって小説ってこんなに面白くなるんだなぁと思いました。そして春海がこんなにも頑張れたのは、関孝和が「無術」と書こうとして書かなかった七分ノ三十寸の設問、そして授時暦が五月朔日の日蝕の予報を外したこと。腹を切ろうとまでしたこの2つの無念さがあったからこそ、春海は「天地明察」を成し遂げることができたのだと思う。自分も臥薪嘗胆。何事に対しても「誤謬」を恐れず「明察」に近づけるよう、頑張っていきたい。この本から元気をもらった気がした。