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あらすじ
大人になったら、友達をつくるのはとたんにむずかしくなる。働いている女が、子供を育てている女となかよくなったり、家事に追われている女が、いまだ恋愛をしている女の悩みを聞いたりするのはむずかしい。高校生の頃は簡単だった。一緒に学校を出て、甘いものを食べて、いつかわからない将来の話をしているだけで満たされた。けれど私は思うのだ。あの頃のような、全身で信じられる女友達を必要なのは、大人になった今なのに、と。
角田光代(帯より)2004年 第132回 直木賞受賞作

 

 

ひと言
1つ前も角田 光代さんでしたが、実は図書館にこの「対岸の彼女」を借りに行ったのに、この本が貸し出し中だったので「くまちゃん」を借り、どうしても読みたくて、別の図書館まで走ってこの本を借りました。この本は数年前に読んだ本なのですが、こういうブログを書くようになり、心に残るこの言葉を載せたかったので、また読みました。この本を読んだ人の多くが心に残った言葉だと思います。「私さ、子どものとき、友達ができないのは悪いことだってずっと思ってた。なーんか、そう思うことってけっこうつらいんだよね。それでね、子どもいたりしたら、またそういう思いこみ持って、子どもに押しつけちゃいそう。それもこわいんだよね。子種見つけてから言えって感じだけど」あはははは、と葵は高らかに笑う。「だけど、友達、たくさんできたほうがやっぱりいいじゃない?」耳に届く自分の声は、みっともないくらい切実だった。(中略)「私はさ、まわりに子どもがいないから、成長過程に及ぼす影響とかそういうのはわかんない、けどさ、ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね