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あらすじ
二十七歳の宇津木明生は、財閥の家系に生まれた大学教授を父に持ち、学究の道に進んだ二人の兄を持つ、エリート家系出身である。しかし、彼は胸のうちで「俺はきっと生まれそこなったんだ」とつぶやいていた。明生は周囲の反対を押し切ってスポーツ用品メーカーに就職し、また二年前に接待のため出かけた池袋のキャバクラで美人のなずなと出会い、これまた周囲の反対を押し切って彼女と結婚した。しかし、なずなは突然明生に対して、「過去につき合っていた真一のことが気になって夜も眠れなくなった」と打ち明ける。「少しだけ時間が欲しい。その間は私のことを忘れて欲しいの」となずなは言い、家を出てしてしまう。失意の明生は一方で、個人的な相談をするうちに、職場の先輩である三十三歳の東海倫子に惹かれていく。142回 直木賞受賞作品の「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」2編

 

 

ひと言
この本と出会うまで白石一文という作家は知りませんでした。理性を超えた所にある本当の恋愛。自分にとってかけがえのない大切な人だと気づくとすぐに別れが訪れてしまう。すごくいい作品を読ませてもらいました。「ほかならぬ人へ」もよかったのですが,「かけがえのない人へ」の 黒木の「ケーキでも食うか」「ただの習慣だよ,バカ」という言葉や,結婚式の前日に家を抜け出して黒木のマンションに向かうみはる。こちらもとてもいい作品で、個人的には「かけがえのない人へ」のほうがいいかな。