4話 ライバルと初めての出撃! | アルストロメリア ~門出~

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大阪在住の学生です。更新は不定期ですが、アニメ関連の話題や自作小説、アニメSSを載せていきます。たまに全然関係ない日常雑談もします。
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テーマで記事を細かく分けているので、ぜひ記事を見る際の参考にどうぞ。

 最近この泊地にやってきた水無月にとってここでの生活は刺激が多くて毎日が楽しい。夕張さんから貰った四連装魚雷もだんだんと使いこなせるようになってきた。ただ、今秋行われていた泊地をあげての限定海域出撃は水無月も出撃を志願したが、提督直々に即却下を言い渡されてしまった。「潮くらいの練度になったら考えてみなくもない」だとさ。。

 「うん、でも、このまま頑張ればいつか水無月も実戦にいける!」


 そう考えていた矢先……

水無月は今月この泊地にやってきた浜風という新人の駆逐艦と出会った。

 

 

「浜風です。あなたが水無月さんですね」

 問われて水無月はそうだよ、と首肯する。自分の方が着任が早い。よって自分の方が練度が高い。

「噂は聞いています。なんでも提督に出撃の申請を出しまくって直々に却下されたとか」

「水無月そんな噂回されてるの!?」

 これからはもう少しおとなしくしよう。

 そう思って浜風を見ていると、浜風は見覚えのない装備を着けていることに気づいた。

「その……電波機械みたいなのって何なの?」


「あぁこれですか。三式の水中聴音機です。対潜水艦において効力を発揮し、敵の察知がしやすくなります」

「そうなんだー」

「はい。あと、私の主砲は12.7砲の改装版B型です。水無月さんの装備しているものの後継にあたります」

「何かいい装備持ってるね」

「はい。それだけ期待されてるのでしょう」

 

 この言葉が水無月の心に浜風に対する対抗心を芽生えさせた。

「べ、別に装備で劣っていても、水無月は負けないんだから!」

「は、はぁ。」

 

 

 数日後ー

 

 水無月にもついに実戦に出撃する機会がやってきた。

 任務は泊地近海の哨戒。

 旗艦は神通が務める、とのことで瑞鳳をしんがりに前回演習で一緒した潮と、ライバル(自分で勝手にライバル認定した)の浜風も出撃するらしい。


「浜風ちゃん、負けないからねー!」

「水無月さんより良い戦果を出してみせます」

「あ、あの……協力して、頑張ろうね?」

「出撃前に瑞鳳のたまごやき……食べりゅー?」

 

 瑞鳳の作ったたまごやきを食べていると、今回の旗艦である神通がやってきた。

 

「美味しそうな卵焼きですね……ではなくて。今回の任務は近海の敵の掃討。水無月さんと浜風さんにとっては初めての実戦任務ですね。強力な敵はいませんので、今回は貴方たちのテスト実戦ということになります。期待していますね」

「「はい!」」

 

 そして二人の実戦は幕を開けた。

 


 

「あれが深海棲艦……」

 話は文ちゃんから聞いていたけど、やっぱり近くで見ると怖い。

 神通と潮はさも当然と慣れた動作で魚雷を敵に打ち込んでいく。


「水無月さん! 回避!」

 敵の魚雷が水無月のもとへ迫った。水無月は焦って機首を操り回避運動を行う。

 が、初陣の緊張もあったせいか、完全に回避することが出来なかった。


 

「あ、痛た……」

 砲塔がひしゃげ航行速度に影響をきたすかというほどの衝撃を受けた。

「水無月さん! 大丈夫ですか!?」

 神通から声がかかる。前方を行く潮も心配そうな顔でこちらを向いていた。

「はい、まだ行けます」

「……分かりました。それでは、潮さん。水無月さんに近づいて可能な限り援護をお願いします」

 神通の命令によって潮が後退する。

 水無月を中破せしめた深海棲艦には神通の鉄槌が下った。


 

「いいですか。いつ何時も緊張を持って。慣れてくると雑談くらいの余裕は出てきますが。最初のうちは……常に周囲に目を配りましょう」


 

 その後の戦闘で潮も損傷を受けたが彼女は既に改二なので、こんなくらいではびくともしないらしい。航行速度も落ちていないのがスゴイなぁと水無月は思った。


 

「今回はこのくらいで引きましょう。」

 10隻ほど敵を蹴散らしたほどで神通が帰投の合図を出した。

 結果、浜風は1隻を仕留めたが水無月は1隻も仕留めることなく損傷を受けたのみであった。

 

「くぅ! 今度は水無月も敵を倒して見せるから!」

「その意気です。今日は戦闘に着いて来られただけでも良しとしましょう」

 神通が微笑みつつ返す。

「あ、焦らなくていいよ。……また一緒に出撃しようね。」

 どこまでも優しい潮であった。

 

 帰投後、水無月は早速入渠ドッグに向かった。この泊地には風呂(ドッグ)が3つしかないのでよく取り合いになる。

 戦艦の榛名がいた。




「こんにちは」

 入るなり返事をされた。水無月も返事を返す。

 駆逐艦と違ってさすが戦艦。体の方も超弩級だ。

 いつか自分もあの人たちと混ざって敵と戦える日がくるのかな。

 そう思いながら湯船に浸かる榛名を見つめる水無月であった。