図書館の蔵書にあったので、あまり深く考えずに手に取りました。
が!なんとも深いお話で、彼らのバックグラウンドやこの先も見ていたいと思いつつ、津田の苦しみと深い愛情に脱帽です。自分なら逃げ出してると思う。。。

記憶は13分しか持たない。
でもそれを毎回、毎日、新しい出会い、新しい物語だと思える津田。そうじゃないと無理よね。

この本で描かれているのは切り取った「一日、24時間」の部分。櫂の方は無意識なので、毎回の現れる「ハウスキーパー」の男の理解が違う。敵だったり、男娼を買った客だったり、愛しい人だったり。
それに合わせて津田は演じる。

終わりのない、繰り返し。
この24時間が毎日、何年も(既に17年繰り返している)続けられていて、そして続いていく。しかもこれから13分は短くなり、果ては全く記憶できなくなる時がやって来るかも知れない、救いが無い。。。
そんな櫂にもほんの一瞬、記憶を思い出すこともある。津田のことを愛していることを無意識に認識していることもある。
津田の救いはちゃんとありますが、やっぱり読後感は重いですね。木原音瀬さんと似てる、と言うと失礼ですが、系統としては同じだと思う。
読ませる、読者を選ぶ作品だと思いました。

HOLLY MIX番外編に木原音瀬さんのキャッスルマンゴーの番外編とともにこの作品の番外編も入ってます。