日本初の国産軍用機「会式一号」。
所沢航空発祥記念館の入り口にはこのレプリカが吊り下げられています。上下に二枚大きな翼を並べたその姿は現在のジェット機とは似ても似つかぬものですが、それでも飛行機、空を飛ぶものだ、というインパクトがあります。
当時は、世界の最先端だったこの飛行機という異形の機械を見に多くの人々が押し寄せたといいます。日本で初めての飛行は輸入機によるものでしたが、それでも「提灯をつけ、弁当持参で夜明け前から見物人が押しかけ、露店もでる」(※注1)ほどのイベントだったらしい
です。飛行機を飛ばしたのは代々木や所沢など割と東京近辺で人も集まりやすかったこともあるでしょうが、それをぬきにしてもすごい熱気だったんだろうと思います。
まあ、今のロケット見学の光景も似たようなものかもしれません。
何時間も前から遠くにそびえるロケットを見ながら、食事したりカードゲームしたり子供をあやしたりしながら打ち上げを待つあの状況・・。時代は変わっても人の本質は変わらないのかも。
空という新分野を開拓する飛行機という存在は多くの人々を魅了しました。でも飛行機が実用的に真っ先に使われたのが戦争でした。まず偵察、そして爆弾を落とす兵器になったわけです。
今の宇宙開発にも似たようなことを感じます。宇宙というフロンティアを開拓するのは非常に素敵なことで、その旅立ちを見に多くの人々が集まります。でも、今は情報収集偵察衛星(いわゆるスパイ衛星)を何機も打ち上げる時代。偵察の次は、なにが来るかと言われればなんとなく予想はつきます。
歴史は繰り返すのかもしれません。
ですが、その初めには空を飛びたい、宇宙にでてみたい、といった冒険心があったことを忘れてはならないと思います。自分がロケットを応援するのは戦争のためではありませんから。
(※注1:「航空博物館とは何か?水島英治著」より抜粋)
