市場化前夜の燃料電池 | H4O水素水のブログ

市場化前夜の燃料電池

市場形成に向け「エネファーム」をアピール


今年7月に開催された北海道・洞爺湖サミット(主要国首脳会議)では、経済産業省などによって、メディアセンターに「ゼロエミッションハウス」が併設された。そのゼロエミッションハウスで、一際注目を集めていたのが、定置用燃料電池の紹介ブースに設置された足湯だった。「夫人プログラム」では、福田貴代子首相夫人に連れられた各国首脳夫人たちが足湯に浸かり、日本の文化を堪能した。サミットの会期前後を含む、7月5日から7月10日正午までの間に、国内外の合わせて1224人が定置用燃料電池ブースを来訪し、385人が足湯を体験した。


2009年度の市場投入を目前に控え、着々とアピールが進められる定置用燃料電池。燃料電池による発電の原理は、水の電気分解とは逆に、水素と酸素を化学反応させて電気をつくり出すというものだ。定置用燃料電池は発電時に発生した熱を給湯などにも利用できるため、一次エネルギーの利用効率が65~80%以上と非常に高効率なのが特徴だ。


定置用燃料電池は民生部門における二酸化炭素(CO2)排出削減対策の大きな目玉として期待されている。家庭用コージェネレーション・システムとして、省エネルギーのみならず、家庭向けの分散エネルギー源としてエネルギーセキュリティを確保できるのも魅力だ。経済産業省が今年3月に発表した「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」でも、定置用燃料電池(家庭用、業務用含む)と燃料電池自動車が、それぞれ21技術に選ばれている。


燃料電池技術は、ノートパソコンや携帯電話などの携帯用機器から、燃料電池自動車、民生用・産業用コージェネレーション・システム、そして大規模発電まで、多様な用途に適用できる。「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」の策定に関わった独立行政法人産業技術総合研究所固体高分子形燃料電池先端基盤研究センターの長谷川弘研究センター長は、「燃料電池は、地球環境の保全(Environment Protection)、エネルギーの安定供給(Energy Security)、持続的経済成長(Economic Growth)の“3E”を同時に達成する、これからの世界にはなくてはならない必須の技術」と断言する。2008年度の当初予算では、燃料電池関連の研究開発に289億円が投入されることになっている。


すでに一般市場に普及しているヒートポンプ給湯機「エコキュート」やガスコージェネレーション・システム「エコウィル」、高効率ガス給湯器「エコジョーズ」などに比べると、家庭用燃料電池はまだまだ認知度が低い。そこで、市場化を前に、まず一般に対する認知度を高めるという目的で、今年6月、燃料電池実用化推進協議会が「エネファーム(ENE・FARM)」という統一名称を発表した。「おうちで採れたてエネルギー」という親しみやすいキャッチフレーズとともに、家庭用燃料電池を提供するガス会社や石油会社、機器メーカーが一丸となって普及に乗り出す考えだ。


出典:nikkei BPnet