「燃料電池車は本当に必要か?」――GMとトヨタが疑問符 | H4O水素水のブログ

「燃料電池車は本当に必要か?」――GMとトヨタが疑問符

かつて燃料電池に熱心に取り組んでいた両社がそれぞれに、燃料電池量産化の実現可能性に疑問を投げ掛けた。


 スイスで開催中のジュネーブオートショーでは3月4日、米General Motors(GM)とトヨタ自動車の経営トップがそれぞれ、水素燃料電池を近い将来量産化するという見通しの実現可能性に疑問を投げ掛け、燃料消費量と排気ガスを大幅に減らすためには電気自動車がより良い選択肢になるであろうとの見解を明らかにした。


 GMのボブ・ラッツ副会長は記者に対し、「最近のリチウムイオン電池の進化は著しく、将来的には電気自動車が充電なしで300マイル(約500キロ)は走行できるようになるかもしれない。大衆市場向けの製品としては燃料電池よりもはるかに現実味がある」と話している。


 「リチウムイオン電池で500キロ走行できるのなら、なぜわざわざ燃料電池が必要だろう?」と同氏は語り、さらに次のように続けている。「燃料電池自動車は依然として価格が高過ぎて大衆市場には向かない。コスト的に折り合いがつかない」


 またオートショーの別のイベントでは、トヨタ自動車の渡辺捷昭社長も燃料電池のコストの高さに懸念を示し、「液体水素燃料を生産し、消費者に広く配布するためのインフラも整っていない」と指摘している。こうした状況からして、同氏は「この先10年で燃料電池が普及するとは考えにくい」との印象を抱いているという。


 こうした発言は、燃料電池に対する自動車業界の姿勢の変化を示している。特にGMはこの2年間、石油消費量の削減に向けた多くの取り組みの1つとして、燃料電池技術の開発に力を注いできた。


 燃料電池は水素を使って発電するもので、未来のゼロエミッション自動車の燃料になる技術として何年も前から注目されてきた。数年前に、GMは燃料電池重視を理由に、トヨタとの燃料電池車の共同研究を打ち切っている。それ以来、トヨタは電気とガソリンを併用したハイブリッドカーの開発で先頭に立っている。ただし同社は燃料電池の開発にも取り組んでいる。


 GMはこの2年間、エコカーの取り組みをアピールすることで、環境への関心を高めつつある消費者に対するイメージアップを図っている。こうした取り組みのスポークスマンにはしばしばラッツ氏が据えられているが、同氏はデトロイトで「ミスター・ホースパワー(馬力)」と呼ばれることもあるくらいの大型車好きで知られている。


 GMのエコカー戦略の中心となっているのは、「Volt」と呼ばれる電気自動車だ。Voltは小型のガソリンエンジンを搭載し、走行中にバッテリーを充電できるようになっている。GMは2010年までにVoltの第1弾を投入したい考えという。将来的には、バッテリーの充電に燃料電池を使うことになる可能性もある。かつては環境保護派から軽蔑されていたGMだが、こうしたキャンペーンを通じて、同社も最近では環境保護主義者の間で支持を広げている。


 もっとも、ジュネーブでのラッツ氏の発言は同氏にとってはあまりタイミングの良いものではなかった。同氏は数週間前、ある記者に対し、地球温暖化は「まったくのたわ言」と発言したが、そのニュースがインターネットに広まるや否や、GMの環境路線に対する疑問の声が噴出したからだ。この騒ぎを受けて、ラッツ氏はGMのブログにコメントを寄せ、「自分の個人的な見解が会社の方針に影響を及ぼすことはない」と釈明している。


 自動車メーカーがすべて燃料電池に逃げ腰なわけではない。Daimlerのディーター・ツェッチェCEOはジュネーブで記者に対し、2010年には燃料電池自動車の生産を台数限定で開始する予定だと語っている。「需要が見込めるようであれば、この技術を従来の自動車駆動系の価格帯に納めることも可能だろう」と同氏は語っている。


出典:ITmedia