会津駒が岳 Japan | 山と花と旅 Japan Alpine Flowersのブログ

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 会津駒が岳

Mt.AizuKomagatake

Japan


平成16年。2004年。2024年の今から20年前。61歳の時のこと。福島県。檜枝岐に宿をとった。滝沢橋登山口にある民宿「駒口」である。宿泊した日も、登山しようとした翌日も、豪雨。どしゃぶりで、登山をあきらめたことがある。気象情報では北海道から九州まで日本全国が晴れだった。次の年。平成16年8月7日。妻と2人。再度「駒口」を予約した。

8日。東北自動車道西那須野塩原インターチェンジで降りた。塩原温泉。会津田島町。舘岩村を経由し檜枝岐村に着いた。時間があったのでミニ尾瀬公園を散策した。会津駒が岳には、自分の気力・体力、午後の雷雨などを考えて、夜明けとともに登山し、雷雨発生の頃は下山することとした。翌9日。4時に起床。宿の若奥さんが朝と昼のおにぎりを手渡してくれた。4時50分に宿を出た。笑顔で見送ってくれた。バス停滝沢橋から会津駒ガ岳の山頂までは6.7キロメートル。私の体力では、登山に5時間弱。下山に3時間余りかかる。林道を1.4キロメートル走行。登山口に駐車した。月曜日。朝5時なのに10台以上駐車してあった。この登山口から山頂まで5.3キロメートル。

整備された木の階段を登る。勾配のある登山道が続く。61歳の体力に合わせて、歩幅を小さくし、じくざぐにゆっくりゆっくり歩いた。5分。10分。30分と登っていくうちに、少しずつ急な山道の登りに慣れてくる。ミズナラの大木。白っぽい幹のブナの巨木。ミヤマガマズミの実が赤く色づいていた。仙台から来たという父親と小中学生の男の子2人。
 
千葉の四街道から来たご夫婦。「この黄色い花はオトギリソウ。この青いつぼみはオヤマリンドウ。」などと言葉を交わしたり写真を撮ったりした。2時間後の7時頃に水場に着き、朝食をとった。水場に下りた。上半身はだかになり、沢水で冷たくしたタオルで汗を拭き取った。勾配がゆるやかになったような登山道にオオシラビソなどの針葉樹。キンコウカ。タケシマラン。マイズルソウ。ユキザサ。エンレイソウ。コケモモ。クロマメノキが実をつけていた。


8時30分頃。湿原に着いた。道は木道となって、彼方に続いていた。視界が広がり、高層湿原の涼風がそよそよと吹き渡り、心地よかった。黄色いキンコウカ。オトギリソウ。ミヤマアキノキリンソウ。ミヤマキンポウゲ。ネバリノギラン。紫色のエゾオヤマリンドウ。タテヤマリンドウ。ハクサンフウロ。ミヤマサワアザミ。白いイワイチョウ。シラネニンジン。イワショウブ。チングルマ。モミジカラマツ。ミヤマホツツジ。花の細道が続いた。仙台から来た少年。「うわあっ、夢の世界だ。」と歓声をあげた。

四街道から来たご婦人は「神々のいる天上の楽園のよう。」と感嘆した。見晴らしのいい木道を1時間散策して9時30分頃。駒の小屋に着いた。駒の池近くにはハクサンコザクラが咲いていた。


可憐なピンクの花だった。今回は時期を失して、このハクサンコザクラの花は見られないだろうなと、あきらめていた。かれんなハクサンコザクラも、深みのある青いエゾオヤマリンドウのつぼみも見ることができた。御嶽山の山旅で知り合った方が登山したときには、駒の池近くにハクサンコザクラがたくさん咲いていたとのことだった。ハクサンコザクラを見るためには7月の登山がよさそうである。平成18年12月に西表島に行ったとき。同行したご夫婦が「ハクサンコザクラは7月10日頃。中門岳の中門池近辺に群生していますよ。みごとですよ。」と話してくれた。駒の池から会津駒ガ岳の山頂までは30分である。10時頃。標高2130メートル。山頂に着いた。
会津駒が岳山頂まで登ることができた。雲が切れると、青空が開け、名山の幾つかが展望できた。快晴なら、もっと見えるはずである。千葉からきたご夫妻は、中門岳に向かった。1年前。大雨の日に登山をあきらめたとき。同宿した女性客2人は「駒ガ岳山頂から尾瀬御池に行く。」と言って、雨をついて山に入って行った。山の奥。花の細道は、どこまでも続くものである。駒ガ岳山頂から駒の池にもどり10時30頃。昼食をとった。宿の若奥さんが作ってくれたおむすびには、焼いたシソの葉や海苔がまいてあり、アユの甘露煮が添えられてあった。仙台から来た親子の父親が温かいラーメンを分けてくれた。リュックにコッフェルと登山用の燃料と水を入れてきたのだ。山旅に温かいものは、なによりである。下の方からか横の方からか、ときおり雷鳴が聞こえ始めた。11時頃。下山を始めた。5時間登ってその日のうちの3時間余の下山は、私にとっては簡単ではない。小またでゆっくりと歩き続けた。12時30分頃、水場に着いた。2人の少年と父親が休んでいた。私が腰を下ろすとすぐに、沢から汲んできた冷たい水を「どうぞ。」と言って手渡してくれた。心にしみるおいしい水だった。一期一会。山で親切にしてくれた仙台の親子。お礼を言いたくても親しくしたくても名前も住所も知らない。会えない。ほかの登山でも言葉を交わしたり山小屋で隣に寝たり。魅力的なな人たち。その場限りの一期一会。雨がぽつぽつと落ちてきた。小降りの中を30分以上歩いた。右膝のあたりが少しつってきたような感じになってきた。最後の30分余りは雷鳴とどしゃぶりの中の下山となった。登山道が泥水の沢になりかけていた。2時頃林道最終地点の自家用車に着いた。改装なった「駒ノ湯」につかり、雨と汗を洗い流した。窓の外、伊奈川上流の清流も、近隣の山々も、どしゃぶりであった。念願の会津駒ガ岳登山後の檜枝岐天然温泉。格別のものであった。今は満81歳。会津駒が岳に登山した後、白山に登山した。ハクサンコザクラは登山道のあちこちになん百も咲いていた。白いハクサンコザクラも咲いていた。火打山。天狗の庭一体にもハクサンコザクラがたくさん咲いていた。