お遍路関係で旅道具、道中の生活用品をピックアップして、解説・評価・必要な機能・選び方などを書かれているブログや動画は多いのですが
『巡礼用品』
って宗教視点でやってるのは少ないな、と思ったので書いてみます(`・ω・´)


【線香をお供えする意味】

[香食]
倶舎論に説かれる「いい香りは神仏,故人の食事」的な教え。

[香の十徳]
一休さんが日本に紹介したとされる北宋の詩人・黄庭堅の漢詩。
お香のメリットを10個書き連ねた40文字の詩で、1000年以上ずっと読み継がれてる名詩。

この2つがよく取り上げられる印象。


僧侶によっては
「煙で虫が来ないようにすることで、不殺生に努めている」
みたいな解釈を説かれることもあります。


他にも
瑜伽師地論を出典として『香が飲食,衣服などの供養を兼ねる』と説く
という例もあります。
※融通念佛宗など。


【分類】

大きく分けると
・煙重視
・香重視
の2種類があります。


[煙重視]
屋外に設置されている大香炉やお墓参りなどに使用されることの多いお線香。
屋外での耐風性や煙の量の都合なのか、直径5mmほどもある極太仕様もあったり。

個人的には煙による『燃焼の香り』が強過ぎて、『薫く』とか『聞く』よりも『焚く』に近い印象。
香がシンプルで、メーカーや品番による香りの違いがあまりないのが特徴。

ただ、こんな研究成果も出ているので…

煙重視のお線香を避ける方もおられますね(^_^;)



[香重視]
主に屋内での使用を目的としたお線香。
香りそのものに化学的に手を加えたものは、成分の影響なのか、人によっては頭痛などが起こることも…。

こちらは『薫く』『聞く』という香りを楽しむものである印象である一方、煙重視に比べると屋外では見た目のインパクトに欠ける感も…。
また、参拝者用の大香炉で各々が好みの線香を薫くと香りが混ざり合ってしまうという難点も。



どちらが良いか?というのは好みじゃないかなぁ、と。
お供物は「心を供える」と言いますし、自分が最良だと思う選択で良いのではないかと。


試行錯誤は必要ですが
・煙の量
・香り
など自分で調整出来るのが最大の利点ですね。


【サイズ】

ミニ寸
 約7~9cm 燃焼時間は約15分。
短寸(標準サイズ)
 約13~14cm 燃焼時間は約30分。
中寸
 約18cm~21cm 燃焼時間は約45分。
長寸
 約25cm~ 燃焼時間は約50分〜。

スーパーなど身近なところで市販されているのは
・ミニ寸
・短寸
の2種類で、中寸以上のサイズはお香専門店,仏具店といった専門店取扱品。
※Amazonなど、大手通販サイトでも購入可能。

特に大きさにこだわりがなければ、携帯ケースは『短寸』に合わせて用意するのが無難だと思います(゚-゚*)


ただ、お寺の大香炉に供える際に
他の参拝者の供えたものと比較しがち、比較されがち
という感はあるので
「やっぱり、あぁしたら良かったかな」
みたいな後悔をしない選択を。

仏様に限らず、贈り物,供え物というのは
「もっと◯◯な物を用意すれば良かった」
というのは、大変失礼なことだと思いますので…。
※個人的な意見です。


よくあるのは、お寺が用意しているお線香が
・一把である(1束を丸ごと着火するタイプ)
・極太線香である
などの場合に
「短寸3本で大丈夫だよね…?」
となる場合が多い模様。
※レアケースですが、長寸のお線香を置いてるお寺もあります。


極太の線香(※商品名は『極太線香』や『護摩線香』となっている場合が多い)なども市販されていますし、中寸や長寸の線香も市販されています。
『贈り物は見た目が大事!』という地域もありますし、こだわりがある場合は事前にしっかり準備を。



〜余談〜

名古屋は『手土産は重い物が良い』という謎の文化が一部に残っていたりします。

この地域文化については
『名古屋ではエビフライを「えびふりゃー」という』みたいな芸能人が創作したネタ
『一部の人の主張を誇張して、全体のことのように言ってる偏見』
みたいな扱いをされるという話も聴くので、数珠の色ルールなんかと同じで、令和の現在ではほぼ廃れたようですが( ̄∇ ̄;)

私は祖父母からこのように教わって育ったので
『手土産は重量で選ぶ』という文化があるのだから『贈り物,お供え物は大きさで選ぶ』という文化があってもおかしくはないんじゃないかな
と思っております( ˙꒳˙ )


【線香の本数】

線香の本数は宗派により異なるので、3本はあくまで『お遍路の定番』で主流というだけです( ̄▽ ̄)

※注意事項
僧侶に訊くと
参拝は『相手(※お遍路)の作法』ではなく『自身の所属宗派の作法』で行いましょう
という回答が来ることが結構多いので、自身の所属宗派の作法に基づいて行えば良いと思われます。


多くの場合、3本は
・佛,佛法,僧(和合衆)
・未来,現在,過去
などを表しているというように説かれますが
・慧香,解脱香,解脱知見香
・戒香,定香,慧香
と説かれる僧侶や宗派も在ったりします。

浄土宗は本数指定なしなので、1本〜

※ここに書かれてるのは焼香ですが、線香は焼香などを運搬&扱い易く改良されたものなので、焼香回数と線香の本数は基本的に同じ。



【携帯ケース】
松栄堂 線香筒ゴマ竹6寸
内寸:深さ230mm、直径15mm



私が使っているのはこれです。

巡礼では
・お墓参り用の線香&ローソクセット
・マーブルチョコなどの空き筒
といった汎用品やリサイクル品が主流な印象なので、線香専用品は珍しいかもしれません。

お線香は
『持ち運び易いように加工されたお香』
『良い香りは神仏や故人の食べ物』
という位置付けなので
「食べ物なら、容れ物も気を使うべきでは?」
とかそんな感じの理由から、専用ケースに入れてます。

まあ、見た目重視のカッコ付け!と言われたら、その通りなのですけれども(^_^;)


この線香筒はだいたい20本〜25本程度入ります。
お遍路の定番本数(3本)でいうと、札所3〜4ヶ所分相当?
※3本×2ヶ所(本堂+大師堂)×4ヶ所=24本