結縁灌頂の私の得仏について、質問を頂きましたので、お答えいたします(`・ω・´)


ただ…、事前注意が幾つかあるので、お読みください(・・;)



[質問]


十三仏の仏様とは、全て結縁されましたか?



【注意事項1】


結縁灌頂は

仏様が、私とご縁を結んでくださる」

という宗教儀式なので「何年通っても、阿弥陀如来様としか結縁しない」などの例もあります。


※『私』の側にある選択権は「結縁灌頂を受けるか否か」のみで、得仏の選択権はありません


※比叡山延暦寺で「何年通っても阿弥陀如来と結縁し続けている」という実例がある、とのこと(延暦寺の結縁灌頂の法話で取り上げられていました)



【注意事項2】


結縁灌頂の入壇経験者や僧侶によっては

十三仏など一定の括りにある全ての仏様との結縁

といった話題を忌避する方も居られますので、ご注意ください。



具体的には

「あとは◯◯様と結縁したらコンプリート(全尊結縁)」

というような、例えるなら お不動様と結縁する事を

『十三仏シリーズ』の『初七日(No.01) 不動明王』

みたいなコレクション対象であるかのような感覚なのでは?

とも受け取れる表現が忌避される傾向があります。



つまり「全て集める=蒐集(コレクション)するのが目的である」と受け取れるような表現は

アウト寄りのグレーゾーン

なので、ご注意ください。



【線引き】


篤信者,宗教者の中でも、特に

・結縁灌頂会を受けている,受け続けている真言宗の檀信徒

・真言宗の僧侶

にとって

『十三仏など、一定の括りの中にある全ての仏様と結縁

というのは、一般社会でいう

「政治,宗教,野球」に相当する地雷的なキーワード

みたいな位置付けになっていたりする場合があります。



※真言宗に限定する理由

結縁灌頂会は密教系統の儀式のため、基本的には天台宗,真言宗,修験道にしかなく

・天台宗で定期的に結縁灌頂会を行っているのが比叡山延暦寺のみ

・修験道で定期的に結縁灌頂会を行っているのが金峰山寺のみ

であり、『全ての仏様との結縁』という表現を忌避する方は真言宗関係者が多い印象であるため。

※あくまでも個人的な見解です


※天台宗が対象外である理由

比叡山延暦寺の結縁灌頂会では対象が6尊で、10年以上受け続けている方も少なくないため

「ベテラン(特別な輪袈裟着用者)なら大半の人が全ての仏様と結縁している」

という状況であり、法話でも「10年も通えば大半の方が6尊全てと結縁される」と述べられるので

天台宗関係だと「全ての仏様との結縁」という表現は

憧れや目標、みたいな褒め言葉的なニュアンス

になってる傾向があるため(※個人差あり)


※修験道が対象外である理由

金峰山寺の千人結縁灌頂会の対象は蔵王権現一尊のみであるため。



一般感覚でいうと

「付き合いの長い友人,親しい友人,家族などとプライベートでだけで話す」

くらいのキーワードであるという認識で差し支えないかな、と思います。


※一般在家の檀信徒から話題として振る場合。

※僧侶側から話題として振るのはセーフな傾向あり。




前置きが長くなりましたが、ようやく回答になります(^◇^;)


[回答]

2023年末時点で、十三仏の全ての仏様と結縁したことがあるわけではありません。


十三仏は

 初七日 不動明王

 二七日 釈迦如来

 三七日 文殊菩薩

 四七日 (普賢菩薩)

 五七日 地蔵菩薩

 六七日 (弥勒菩薩)

 七七日 薬師瑠璃光如来

 百か日 観世音菩薩

 一周忌 勢至菩薩

 三回忌 阿弥陀如来

 七回忌 (阿閦如来)

 十三回忌 大日如来

 三十三回忌 (虚空蔵菩薩)

という状況です。


※(オレンジ色) が結縁したことのない仏様



【おまけ 〜 十三仏 全尊結縁の必要年数 〜】


『興味を持ってもらう事が

 最大の難関』

という話を住職方から聴くので、具体的に載せておきます。


信心とか、宗教上の意義とか、そういう宗教教育は僧侶の方々頑張ってくださる…でしょう(・・;)


私は入壇の経験者として、

「入り口があっちにあって、こんなことやってるよ」

と示すだけです٩( 'ω' )و



あと、実際問題として、僧俗問わず『十三仏との結縁の必要回数』的な質問を頂きますし…




斜め読みできるように、要点は文字を大きくしておきます。

小難しい計算や考え方など、興味ない!という方は斜め読みでどうぞ〜

この項目はあくまでも【おまけ】なので(^_^;)




ご縁などの宗教要素を考慮せず、純粋に数字で考えた場合は

『コンプリートガチャ』

と呼ばれるものの計算式と同様になります。

※『コンプガチャ 確率』などで検索すると自動計算サイトがたくさんヒットしますで、計算式な省略します。


※コンプリートガチャの計算式の前提条件=対象が全て同一の確率である。


そのため、十三仏の全尊と結縁するには、期待値で42回

期待値=確率を計算する際に『達成することが期待できるだろうなぁ』という目安の値。あくまでも目安なので、大きく外れることも少なからずある。

十三仏を対象にしているのは安楽寺と喬正院の2ヶ寺なので、期待値でいえば21年間入壇し続ければ…

という計算になります。



比叡山延暦寺の結縁灌頂会では

・釈迦如来

・地蔵菩薩

・薬師瑠璃光如来

・観世音菩薩

・阿弥陀如来

・大日如来

の6尊が結縁対象であり、結縁灌頂会での法話によると

10年もあれば全尊と結縁する人が大半

とのこと。


比叡山延暦寺にも通い続けるのであれば

安楽寺と喬正院の2ヶ寺で10年=20回の入壇で

・不動明王

・文殊菩薩

・普賢菩薩

・弥勒菩薩

・勢至菩薩

・阿閦如来

・虚空蔵菩薩

の7尊と結縁すれば良いことになります。


更にいうと

12年に一度(戌年)の犬鳴山の結縁灌頂会で不動明王様との結縁は可能

であるため、安楽寺と喬正院で

・文殊菩薩

・普賢菩薩

・弥勒菩薩

・勢至菩薩

・阿閦如来

・虚空蔵菩薩

の6尊と結縁できれば、良いわけです。




まとめると


[年2回グループ]

・文殊菩薩

・普賢菩薩

・弥勒菩薩

・勢至菩薩

・阿閦如来

・虚空蔵菩薩

[年3回グループ]

・釈迦如来

・地蔵菩薩

・薬師瑠璃光如来

・観世音菩薩

・阿弥陀如来

・大日如来

[固定枠](12年に1回100%)

・不動明王


という感じになります(・ω・)

※結縁灌頂関係で時々聞こえてくる『強制(以下略)』は考慮しないものとします。



これをExcelでシミュレータを作り、実際に10万回×10回試行してみると

延暦寺,安楽寺,喬正院の3ヶ寺の結縁灌頂会に10年通い続けた場合は



不動明王を含む全尊結縁回数

1回目 12,799

2回目 12,976

3回目 12,792

4回目 12,594

5回目 12,766

6回目 12,890

7回目 12,753

8回目 12,871

9回目 12,814

10回目 12,718


不動明王を除く全尊結縁回数

1回目 17,226

2回目 17,526

3回目 17,413

4回目 17,092

5回目 17,272

6回目 17,454

7回目 17,322

8回目 17,342

9回目 17,309

10回目 17,132


10年だと10万回中

不動明王含む場合は約1万2,800回

不動明王除く場合は約1万7,300回

なので

10万人中、約1万5,000人

と考えると1割半程度なので、なかなか厳しそうですね。



Excelでのシミュレータの組み方

・RANDBETWEEN関数で1〜6までの乱数を発生させる(延暦寺パターン)

・RANDBETWEEN関数で1〜13までの乱数を発生させる×2枠(安楽寺と喬正院パターン)

この3つのセルを10回分(=セル30個)で1セットとして

・VLOOKUP関数で番号を尊格の頭文字(阿閦如来だけは2文字目)に置き換える

・COUNTIF関数で全て揃っている(不動あり)、不動明王以外が全て揃っている(不動なし)の2パターンを抽出。


Excelなので、数式を一行分構築してしまえば、複製して数分で万単位の試行が可能。


COUNTIF関数で試行の中で条件を満たした組み合わせが何回あるか

というのを抽出すれば、一目で何回結縁出来たパターンがあるかを確認が可能。


期待値などでの計算ではなく、機械的に乱数を発生させて条件一致を数える方法です。

10万回にしたのは、私のパソコンの計算性能的にこの辺りが実用上の限界だから。

ゲーミングマシンなどのハイスペックモデルであればもっと大量に計算可能です。

※このシミュレータのExcelファイルは容量が58Mあり、私のパソコンだとファイルを開くだけで5分程かかります。





シミュレータの出力結果を見る限り、現実的には

やっぱり15年くらいは掛かるかな

という感じはします。



15年を10万回試行するシミュレータを10回動かした結果


不動明王を含む全尊結縁回数

1回目 47,137

2回目 47,246

3回目 47,096

4回目 47,262

5回目 47,353

6回目 46,983

7回目 47,420

8回目 47,377

9回目 46,917

10回目 47,300


不動明王を除く全尊結縁回数

1回目 52,585

2回目 52,752

3回目 52,483

4回目 52,677

5回目 52,749

6回目 52,466

7回目 52,900

8回目 52,783

9回目 52,476

10回目 52,659


15年を超えると10万回中

不動明王含む場合は約4万7,300回

不動明王除く場合は約5万2,500回

このあたりで5割ほどになるため、ひとまず現実的な目安の年数かな、と。


10万人中、約5万人

ですから

十三仏と全尊結縁したいなら、15年は受け続けよう

と言えそうです。


ちなみに安楽寺のみ、喬正院のみ、など1ヶ寺だけで受ける場合は

35年で10万人中、約4万人

というシミュレーション結果が出ました。



現実的な期間がわかったところで、そうなると気になるのが理論上の最短。


考えてみると、シンプルに


1年目…不動明王・文殊菩薩・普賢菩薩・釈迦如来

2年目… 弥勒菩薩・勢至菩薩・地蔵菩薩

3年目… 阿閦如来・虚空蔵菩薩・薬師瑠璃光如来

4年目… 観世音菩薩・阿弥陀如来・大日如来

というような感じで結縁出来れば全尊結縁は可能なので、最短4年ということになります。

4年用にシミュレータ(30万回試行)を作成
※10万回だと0回が頻発したため回数を増やしたところ、30万回はギリギリ動きましたが、パソコンからスペック不足と警告が出ました(笑)



1回目 0

2回目 5

3回目 2

4回目 0

5回目 4

6回目 6

7回目 5

8回目 1

9回目 2

10回目 5


シミュレーション結果を平均すると30万人いたら3人くらいは最短で全尊結縁出来そうなので
10万人に1人くらい
くらいの割合になる模様。

ネットカフェなどで、ハイスペックゲーミングモデルを使って100万のシミュレータを動かしてみるともっと具体的になるかも…?


こう書くと、最短全尊結縁者は
10万人に1人の選ばれた人間だ!
という選民的な主張になりそうですが
『十三仏、全ての仏様と均等に縁がある』
ということなので
特に縁の深い仏様が存在しない
という感じで、宗教的にいうと「特にメリットないよね?」という事なのではないかなぁ、と。



【所感】
全尊結縁の目安が15年というのは、実際に結縁灌頂を受け続けてる側の感覚として
「このくらいだろうなぁ」という推定と一致している
という感じ。

ただ、10年なら2割は超えるだろうなぁと思っていたので、1割半なのは思ったより少ないなぁ…と。

逆に最短は『13分の1を12回連続』という要件なので、計算すると
0.00000000000004292198242
となるため、地球人口全員でも無理な割合が出るのでは?と予想していたので
10万人に1人という結果が出て「これ、あってる?ホントに???」と計算結果を疑うものの
15年と10年の計算結果は感覚的に間違ってる感じはしないから、やっぱり10万人に1人くらいだよなぁ…
という…。