仏具店で錫杖頭と石突を買いました(°▽°)


本焼きの別上品で、『大大』とか『特大』と表記されてるサイズ


購入理由「長錫杖にしたいなぁ…」



ずっと倉庫に仕舞われていたためか、所々に錆が出ているので、そこはおいおい綺麗にしていくとして。

まぁ、錫杖なんてそうそう出るものでは無いでしょうから、仕方ないですね_(:3 」∠)_




しかし、購入して、さぁ組み立てるぞ!となって、改めて考えると…

実際に長錫杖にするかどうするか悩みますね( ̄▽ ̄;)


長錫杖って見た目は立派なんですが

・一般的なタクシーなど、セダン系車種に乗れない可能性がある

・飲食店に入ったときなど、置き場に困る

・目立つうえに中古需要がある物なので管理上の問題がある

という感じで、扱い難さが…。



例えば、お遍路の通し打ちとか、ツアー系の巡礼とか

「ずーっと歩いてます!」

みたいなスタイルなら、動物除けに頼もしいのですが…。




あと、手錫杖と違って、法具として鳴らすのも意外と大変。


手錫杖は肘から先を動かせば済みますが、長錫杖の場合は

1.長錫杖を5cm〜10cm程度持ち上げる

2.地を突くように石突を振り降ろす

という動作を繰り返すので、握手が結構いるし、肩への負担も結構あります。


持ち上げて、手を緩めて、ストンっと落とすだけだと上手く鳴らないというか、鈍い音になるんですよね( ̄▽ ̄;)


文字にすると

落とすだけ→カシャン

地面を突く→シャンッ!

みたいな違いが…



※注意事項

読経などの際に法具(鳴物)として錫杖を扱う事については

『行者としての認可のない者は扱ってはならない』

と定めている講などもあるため、自身の所属先に要確認。



【錫杖の流通形態や品質分類】


[基本構造]

錫杖頭+柄+石突


ネット通販だと組み立て済みしか見かけないのですが、実店舗(仏具店など)では部品毎のバラ売りされていたりします。


正確にいうと、部品の状態で在庫を持ってるお店が結構ある印象。


理由は

・錫杖頭のサイズ,材質

・柄の材質,形状,長さ

・石突の有無

などは使う人の好みによるから。


衝撃が加わる道具でもあるので

『破損部品を交換できるように』

というのもあるようです。




[錫杖頭について]

メーカー(仏具工房)によって名称や区分は異なりますが、大きく分けると


《普及品》

コストパフォーマンス重視のモデル。

メーカーによっては『並品』という場合も。


《別上品》

普及品の音質,耐久性,装飾性を向上させた上位モデル。


の2種類になります。




別上品はメーカー(仏具工房)によって

・別上品ではなく『特上品』という名称である

・『別上品の更に高級なモデル』として『特上品』が存在する

など、様々。


中には『普及品』『別上品』などの品質や仕上げによる分類ではなく

《鳴金》

《本焼き》

など、材質や加工方法などになっている場合もあります。


この辺りは、家電製品などの仕様や機能の名称,グレードの分類がメーカー毎に異なるのと同じような感じですね( ̄∇ ̄)



※鳴金

別名:佐波理・響銅・砂張

装飾性のために銀を混ぜた銀佐波理,四分一佐波理などの合金も。

鳴物仏具用の合金で、大別すると青銅の一種。

メーカー毎に独自配合,熱処理が行われているので、詳細不明。

明記はないものの、燐青銅系かな?





ちなみに

『使い込んだ錫杖ほど良い音がする』

とのことです。



仏具工房の製品紹介動画でもハッキリわかるくらい音が違う…(°▽°)



理由を調べたら

金属は焼くと柔らかくなり、たたくと硬くなる

という性質の影響のようです。


錫杖は体鳴楽器なので

使い続ける=衝撃が加わり続ける

ということから、硬化したものと思われます。




錫杖をずーっと振り続ける装置を作って、振り続けたら音が変わるんかな…?


僧侶が錫杖を1日約30分(般若心経10巻相当)ほど振っていると仮定したら

30分×365日=10,950分≒7.6日

なので、理屈上は

僧侶が1年使う≒機械で7.6日間、負荷を加える

ということになるので、防音箱を作って、その中に錫杖を振る装置ごと入れて、8日間くらい稼働させたら…?

『使い込んだ」というくらいなら、10年相当(約80日間)稼働させたら…?

とか考えてしまいますねぇ…( ̄∇ ̄)



【錫杖頭の取り付け蘊蓄】


最終的には、やはり長錫杖に仕立てることにしました。



柄の材質は赤樫。

自分で錫杖頭を据えようとしましたが、硬すぎて工具の刃が通らないということで自分で加工するのは断念。



そのため、仏具店に持って行って依頼することに( ̄▽ ̄)


ついでに、加工について色々教わりました。



一番やってはいけない加工方法は

柄のてっぺんにドリルで穴を開け、木工ボンドを流し込み、錫杖頭の『芯』になる木材を差し込んで、錫杖頭を固定する

という『柄と錫杖頭が間接的に取り付けられた状態』が最悪とのこと。


いわゆる『ダボで接合する構造』がダメらしい。



コレをやると錫杖を鳴らしているときに錫杖頭が吹っ飛んでいって周囲に怪我をさせたりする可能性がある、とのことで。

加工は容易だけど、強度に難がある仕上がりになる模様。



じゃあ、どうやって取り付け加工するんだろう?と思ったら

1.棒の端の芯が錫杖頭の内径より『ちょっと太い』程度まで、電ノコで浅く切る

2.棒の端から浅く切った部分まで、ノミで斫る

3.斫った部分を錫杖頭に合わせて丁寧に仕上げ、錫杖頭を差し込む

4.釘で錫杖頭と柄を繋ぐ

という感じで取り付ける模様。



この加工をするにはミリ単位の加工が出来る卓上盤の電ノコみたいな安定した精密加工可能な工作機械がないとダメっぽいですね(゚ω゚)


もしくは、旋盤あたりでしょうか。

2m近い長さの棒を固定できる旋盤なんて、レンタル工房などにもないでしょうけど…。


治具を作れば、グラインダーとかレシプロソーでも不可能ではない可能性もありますが(ーー;)



《余談》

完成した錫杖は全長約1.8m,総重量約1.5kg

錫杖の実用品としてはかなりの重量級です(゚ω゚)


※四国八十八ヶ所公認先達用の錫杖は全長1.6m強,総重量約0.7kg