スペクトルマン 総括 その① | 必殺の0.1秒

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陽屠(ハルト)と申します。
特撮に関連する話題、特撮感想を中心とし、
その他諸々、日常についてなどを発信できたらと思います。

スペクトルマン、全話視聴終了しましたので、

作品の総括を書いていきたいと思います。

まずは1~20話「宇宙猿人ゴリ」時代について。

 

☆ストーリー展開について☆

 

前半はゴリ博士とラーの侵略や計略描写がメインとなり、

ヒーローであるスペクトルマンはあくまで「対応者」として描かれていましたね。

また、協力者の公害Gメンはウルトラシリーズの防衛チームに比べると、

やや影が薄く感じます。実際に兵器を持って戦うわけではないので仕方ありませんが、

隊員のメイン回などもないため、なおのこと個人のキャラクター性が希薄でしたね。

 

また、公害問題をメインテーマに取り上げていたのもこの頃ですね。

スポンサーからクレームがついたというのも頷けるほど、悲惨な描写多かったですね。

登場する怪獣も、怪奇性を強調したものが多かったと思います。

ネズバートン編やバクラー編などは、ホラー的演出も相まって、

子供向け作品としては陰惨な描写が多く見られました。

 

☆登場人物について☆

 

ゴリ博士とラーに関しては、先に書いたようにメインとなっていましたので、

描写も多く、二人の掛け合いが中々面白く描かれていました。

ゴリ博士は作戦展開に関しても優秀で、常に複数の策を講じてスペクトルマンを出し抜いていました。

ラーも、人間を容赦なく殺害する凶暴さと、ちょっとの愛嬌が見られて中々いいキャラしていました。

 

主人公である蒲生譲二=スペクトルマンはとにかくこの時期、奇行が目立つ。

まだ地球に慣れていなかったからなのでしょうが、それにしてもやりたい放題です。

言動は過激、空気を読むのも苦手、女性には暴力、窃盗行為等々……

ここから落ち着いていくので良いのですが、ちょっと序盤酷かったです。

 

公害Gメン、室長は流石の貫録で存在感を示しました。

しかし、方言とチーフ設定が付与されている加賀はまだしも、

太田と有藤の差別化はあまりありませんでしたしね。

まあ太田の方が失言多めとかはあるけど。

 

また途中降板してしまった女性Gメン・理恵さんは見た目こそ目立つものの、

「蒲生の奇行のメイン被害者」で終わってしまいましたね。

ラーに付きまとわれていた設定も降板したため使われなくなりましたし。

 

忘れていけないのはネビュラ。

この時期は非常にスペクトルマンに対し、理不尽さが目立ちますね。

逆らうと機能停止、変身解除、

公害人間を殺せとか人体実験用に人間送れとか……

味方側にも拘らず騒動の元になることが多かったです。

 

☆戦闘について☆

 

スペクトルマンは1話から炎上墜落、必殺技は外すと死ぬ、地面に倒れて変身解除、

と情けない描写が多く、戦闘でも苦戦が多くあまり強いヒーローとしては描かれませんでした。

技・武装もフラッシュ・スライス・ギムレット(あまり使われないけど)・バックルしかないですし、

必殺技の絵が地味なんですよね。なんか。

あとステージギミックを使用するのが大好きな印象があります。特に鉄パイプ。

 

ただ、怪獣の方もこの時期は微妙な奴多いです。

強敵と言えるのは、新技を繰り出す必要があり、ほとんどの攻撃が通用しないネオヘドロン、

多彩な能力を持ち、ギミックを見破らないと戦いにならないサンダーゲイでしょうか。

他はネズバートンも高い生命力を持っていましたし

火が付いて慌てて消したけど

大災害引き起こしたモグネチュードンも厄介な相手でした。

なかった事になったけど

 

 

☆エピソードについて☆

 

良くも悪くも印象に残った回と言えば、

 

5・6話「公害人間編」

「ヒーローが命令とはいえ、一般市民に手を掛けようとする」という画で、

良く取り上げられる衝撃回、ということでしたけど

実際見てみると、ラーの描写とか宇宙をぷかぷか浮いているスペクトルマン、

無駄に長いリンチ描写(そして変なBGM)、「カロリー控えめのフラッシュ」

などシュールさが上回る回でした。

私、正直なところショッキングな場面だけ扱って、それを全体評価とするような

取り上げ方は好きではないのですよね。

 

13・14話「ネオヘドロン編」

これはもう、蒲生の奇行の極みみたいな話ですね。

特に後編の流れるような連続窃盗からわき見運転で自爆、唐突な落雷、

とばっちりで死んだ救急隊員とか突っ込みが追い付かない。

ですが、以前登場した怪獣が再生・強化され、

苦戦するヒーローが新技で倒すという王道の流れのお話でもありますよね。

 

15・16話「モグネチュードン編」

これはラストの「時間を戻して、なかった事にした」が一番衝撃的。

自身による都市の破壊描写も中々迫力があったと思います。

最後の蒲生による街頭インタビューとゴリの皮肉気なセリフも印象的でした。

これまでと比べると特撮描写が少し良くなってきた印象があります。

あとモグネチュードン、なんかキモ可愛いですよね。仕草とか。

 

19・20話「バクラー編」

前半の和製ホラーから後半の滅茶苦茶さの振れ幅が……

富士山より巨大化したのに全く巨大感のないオープン撮影とかも強烈。

ただそのごり押し解決方法は嫌いじゃないです。

近年の作品には薄れているパワーを感じましたね。

あとバクラーが気持ち悪い。見た目も生態もなんかすごく嫌だ。

昔あったスペクトルマンのガチャガチャでこいつ当たったときすぐ売りましたもん。

 

 

というわけで「宇宙猿人ゴリ」、中々強烈なエピソードが多く、困惑することも多かったのですが、

意外とその突拍子もない展開に突っ込み入れるのが面白かったなぁと。

これ以降、段々と洗練されて行っておとなしくなりますからね。

それと、中々円谷や東映作品では見られないようなシリアス展開・社会派な作風は

非常に新鮮に観ることが出来、楽しかったです。

(視聴済みの作品だと、レインボーマンと双璧をなすかなぁ)

では次回は「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」分について書いていこうと思います。