鬼神大王波平行安
















親父さまは
鶏小屋に走り、
竹で作った鶏の止まり木に
お湯を注ぎました。

足が温かくなった 鶏は、
「コケコッコー」と
高らかに鳴きました。


それは、
鬼が、 
九九九本を
打ち終え、
あと 一本という時  
でした。


「しもた、夜が明けてもうた。」

鬼は打ち終えた刀を抱えて、
逆巻く波の上に
平らな道でもあるかのように、
海のかなたへ
走り去りました。

よっぽど
あわてたのでしょう。

鬼は
一本の刀を
落としていきました。


そこには、

「鬼神大王波平行安」 
「きしんだいおうなみひらゆきやす」

刻んであったそうです。