おはようございます。
今回はこちらの映画について。
※ 例のごとくネタバレを含みますのであしからず。
素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店
前作の「キャラクター/孤独な人の肖像」で第70回アカデミー賞外国語映画賞(1997年)を受賞したマイク・ファン・ディム監督の2作目で、ブラックなコメディ映画である。
主人公は大富豪の青年、ヤーコブ。
彼は子どもの頃に感情をなくしてしまっていた。
母親が病気で亡くなり、天涯孤独になったことでこの世に未練がなくなり、財産はすべて寄付をして自殺をしようと決意する。
しかし、自宅で決行しようにも使用人が多くいるため、人の目があり、なかなか実行できずにいた。
そんなある時、ヤーコブはブリュッセルにある不思議な代理店「エリュシオン」について知ることになる。
どうも葬儀社が裏稼業として"あの世への旅立ちをお手伝い"しているらしい。
ヤーコブはエリュシオンに赴く。
そこでは、あらゆるあの世へのいきかたを提示される。
愛する人に見送られる方法が1番人気とのこと。
ヤーコブが決めたのは"サプライズ"。
いつ、どうやってなど、すべてお任せのコースである。
エリュシオンでヤーコブは同じくサプライズを選んだアンネという女性と出会う。
2人はなんとなく気が合い、一緒の時間が増えていく。
感情をなくしていたヤーコブだが、アンネとの出会いを期に感情が芽生え始め、葛藤が生まれる。
今すぐ死を決行してほしいと言いに行こう!
そして向かったエリュシオンで彼は言うつもりだった言葉とは裏腹にこう言うのであった。
やっぱりやめます!サプライズは取り消しで。
ヤーコブの言葉に店長のインド人男性は残酷に告げる。
もはや取り消せない。我々は非合法の仕事をしています。言いましたよね?我が社は解約不可能で成功率100パーセント。もう遅い。
果たしてヤーコブは " 死 "から逃れることは出来るだろうか。
この映画の製作は2015年のオランダ。
オランダは世界で初めて2001年に安楽死容認の法案が可決された国ということも印象的だった。
人生は潜在意識の自分の選択だと私は思っている。
自分の選択とはいえ、思いもしない方向からある日突然その出来事は訪れる。
まさに"サプライズ"なのである。
コントロール出来ていないような気がしても、自分で選択しているような不思議な感覚。
そんなものなんじゃないかと思っている。
ヤーコブに死を望むよりも大きな望みが無意識にあったとしたら?
このまま感情もなく、恵まれてはいるが感動も喜びもない人生が続くとしたら?それよりは死を選びたいと思ったのかもと想像する。
大前提として、自分の人生にはこれからも感動や喜びは訪れないものだと決めつけていたのかもしれない。
しかしそこに "サプライズ" が訪れる。
まさか人を好きになって生きていたいと思い始めるのである。
サプライズがあるから、きっと面白いんだろうなと思った。翻弄されることも多そうだけど。
今日もいい日になりますように。