妊娠を報告した際、すぐに父は「里帰り出産するんだよな?」と聞いてきた。
私はもちろん、すぐに答えることはできなかった。
すると父は、「里帰り出産しろよ。張り合いが無い。」と言った。
命令系だったため、私は従うしか無いのだろうなと思った。

結局、産前は夫と住む家で過ごし、産後1ヶ月程実家に帰ることになった。
両親は産前の私のサポートをしたいのではなく、生後まもない孫を愛でたい、また、娘が産後実家で過ごしているという事実が欲しい、だけなのだろうと思った。そのため、里帰り出産では無いが、両親の目的は果たされることになる。この案に両親は反対しなかった。

産後、やはり両親との関係は悪化する。

なかなか母乳を飲んでくれない娘に泣く私に、「そんなわざわざ母乳なんてやらなくていいんだよ、あんたはミルクだけで育ったんだから。」
「あんたの母乳の出が悪いんじゃない?私はうんと滴るほど母乳が出ていたよ。」
「うちに預けるとき母乳しか飲まないと困るだろ?ミルクで育てるのがいいんだよ。」
と母は言った。
出来るならば母乳で育てたいと言う私に対して、今言う言葉なのだろうかと疑問になる。

低体重で産まれた娘は、眠っていても起こして授乳しろと入院時に助産師から指導があった。
母は、「寝ているのにわざわざ起こさなくていいんだよ。」と言う。
ミルクを飲ませた後は消化の関係で3時間空けるよう、インターネットで調べた情報にあった。
母は、「あんたは何でもネットネット、本当に感じ悪い。泣いてるならミルクを飲ませればいいんだよ。」と言う。
その根拠は何なのか。私にとって大事な娘を、「私のときは大丈夫だった」だけである曖昧な方法で育てたくない。
なぜ母はそんなに自信があるのか分からない。

初めての育児で分からないことばかり。退院したばかりで毎日悪戦苦闘していた。
赤ちゃんは物凄くか弱い存在に感じ、何をするにもインターネットで確認しないと不安だった。
産後のホルモンバランスも相まって、毎日泣いていた。

私は気付くと、物心ついたときから今までの、これまで言えなかった両親への不満をぶちまけていた。
母は泣いていた。「あんたは親を泣かせて楽しいのか。文句を言える立場になったらいきなり攻撃してくるなんて卑怯だ。あんたは私のことが嫌いなんだろう。私だって自分の親に対して思うところはあったけれど、親を泣かせたくないから言わなかった。」と言った。
私の思いは全く届いていない。母は私が攻撃したという事実しか分かっていない。もちろんその前提は「自分が正しい」なのだろう。

社会人になるまで「養ってやってる」と言われていたからこれまで文句を言えなかった。私は高校生のときから家を出るまで、ほぼ毎日この家で泣かされてきたのだが、「子供は泣かせて」もいいのかと聞いたが、全く耳に入っていないようだった。

元々、娘の世話は私がほぼしていたし、私の食事も冷凍食品なこともあったし、実家にいる意味は無いと思っていた。
予定を2週間切り上げ、私は夫の待つ家へ帰った。