夏盛りの正午

郵便受けに白い封筒が届きました

 

 

送り主は知らない住所と名

字体は幼さをみる小さくまるい文字

 

 

 

相方さんに宛てた手書きの白い封筒をしばらく見つめ、昼ごはんに戻った彼に渡しました

 

普段届かぬ手書きの封筒を眺め、「なにこれ」とふたり傾げ顔

 

開封すると、小さな写真が一枚

 

他になにもなし

 

 

 

 

 

お化粧顔の若い男性の写真に、

 

「???」

 

 

 

「後から多額の請求が来たりして」

 

新聞を連日賑わす振込詐欺

もしかしたら、新種の詐欺?

 

昭和ベビーブーム生まれのおじさんとおばさんは、昼に真剣顔で話し込みました

 

 

封筒を触った手に異常がないかもふたりで確認

疑い出したらキリがない

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、お化粧をした男性写真一枚が届いたこと、そこからの両親の対応を話すと、わらう娘

 

 

届いた写真は、今度コンサートに行くグループの一員だとか

 

 

所謂、推しメンの写真

ネット注文したものが父宛てに届いたらしい

 

 

「でっかいペンライトも届くから驚かんといて」とにっこり続ける

 

 

聞くと、でっかいペンライトに推しの写真を貼って、コンサートに参加することが現代のながれだそう

 

 

 

 

 

そんなことを知らないおじさんとおばさん

妄想が膨らんだ騒動になんだかわらえた令和五年の夏

 

 

気がつけば、娘はまたちがう地へ

まなびの日々が始まりました

 

 

何度と目覚めた出発の朝

一生懸命こらえたなにか

 

 

精一杯がんばった娘との18年

あっという間に子離れ修行がやってきたおじさんとおばさん

 

 

「おかあさんもがんばるからね」

彼女に誓って別れた春がずいぶん前のようにもかんじます

 

 

 

 

 

 

そんな娘は推しメンひっつけた大きなペンライトを振る日が近づいてきた

 

 

ひとり新幹線に乗り、同級生と待ち合わせてコンサートを楽しむらしい

 

 

半年ばかりでぐーんと行動範囲や視野もひろがった

 

 

ずいぶん大人になったなと横顔見つめた夏の夜

 

 

 

 

 

 

胸がぎゅっとなる思いをこの半年間で何度あじわったことか

 

 

50歳、おじさんとおばさんの子離れの歳

 

 

おじさん、おばさんもがんばるね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛しき彼女がこれからもしあわせでありますように。

たむらめぐみ