彼との出会いは1本のダンス動画だった。
SNSなんて、スクロールすればいくらでも新しい動画が流れてくる。
無限に時間も溶けていく、そんなツール。
私も日々、何となくスッ、スッとスクロールしていた。
そんなある日。
あるグループダンサーのダンス動画が目に止まった。
なんか可愛いけど、なんかかっこいい。
ただそれだけの気持ちでフォローした。
とても静かな始まりだった。
SNSの流行り廃りは早い。
ちょうど、そのグループもバズり始めた頃だった。
過去動画から見始めて、コメントも それなりに残した。
新規投稿があれば、またコメントした。
ほかのたくさんのフォロワーも、同じようにコメントをしていた。
が。
偶然なのか、たまたまなのか。
ほかの人にはコメ返するのに、何故か私には一度もコメ返がきたことがなかった。
(変なコメントなんてしてない。)
(むしろ、普通のコメントしかしてないから??)
(なんか、ウザかった??)
そんな事ばかり頭によぎり、返事もない。
つまんないからフォローを外してしまった。
そこから何かが変わった。
次の日の投稿から、「待って」「行かないで」そんなラブソングの選曲ばかり。
1日2日は「ふーん」くらいにしか思わなかったが、流石に続きすぎて古参のフォロワーもザワつくレベル。
あれ??
なんか、私のこと??
いやいやいやいやいや。
なわけないでしょ。
そんな思いで、変わらず動画を見続けていたある日。
個人の垢も見つけ、そっちも覗いてみた。
どうやら、あるアーティストのバックダンサーもしていたようだった。
そこにあった1本のダンス動画。
とんでもなくバチバチに踊る彼の姿を見て、身体に電流が走った。
その姿に魅入ってしまった。
すごい……
その一言をどうしても彼に伝えたかった。
直接DMなんておこがましい。
一か八か、自分のプロフに彼宛ての感想を書いてみよう!
そう思い立ち、誰も覗かない自分のプロフに彼への言葉を残した。
すると、その日から彼の個人垢の投稿が変化した。
何となーく私への返事とも取れる選曲になっていた。
(もしや……??)
何回か、プロフに彼への思いを置いてみた。
やっぱり、返事のような選曲だった。
そんな確信のないことを、何となーく続けていくうちに、いつしか私は彼に恋をしていた。