黒澤作品の中では駄作、難作という評価がされているようですが、
自分にはかなりの名作。
もしかしたらストーリーや人物の書き方は一番好きかもです。
貧しい底辺で生きる人たちの群像劇。
レビューなどで重い、暗い、救いようがないと書かれてるけど、
登場人物たちは、その生活の中でそんなことはみじんも思っていないと思うっす。
たぶんそれは、観てる側の生活と映画の中の生活を比較してるからだと思う。
どちらかと言うと、登場人物それぞれの「現状」の受け取り方がきもかなと。
何人かのうち大きく3つの種類の人間がいたように思えたっす。
「現状」を受け入れて、それでも信念や軸がぶれない人。
「現状」に流されて、そのままに生きている人。
「現状」が受け入れられず、言い訳することで今を正当化している人。
自分を正当化するための言い訳してる人、けっこういますよね。
自分もそうですが(笑)
まぁ、いろんなところでふと当てはまるところがあるのがなかなか
ギクリとするところです。
ちなみに現状に言い訳する人たちの場合は、バッドエンドが多いっす。
しかし、このどん底な生活な中でそこから抜け出したいという行動をとっている人物が
一人もいないのがまた面白いところです。
かつ子が酒屋の岡部くんを刺したのも、複雑な想いがあると思いますが
どこか、今の生活から抜け出すことを拒否しているようにも思えたっす。
また、その岡部くんのそこでの生活している人たちを見方も、上辺だけの批判というか
口で言うだけで、だからと言って何をするでもないあたりが、
なんかネット上だけで上等なことを言ってる現代社会の人間にもつながるものが感じられたっす。
まぁ、このブログもね(笑)
ちょっと観てない方には分かりづらいことだと思いますが、
かなり面白い映画だと思いますので、是非おすすめします。
Portishead/Portishead

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