ハンガリーから帰国後すぐ、たしなんでした日本舞踊のお師匠さんに再度弟子入りをした際、
1か月後に"縁展"があるので、そこで兄弟弟子と手ぬぐい踊りを踊りなさい。
これも無茶な要求だな、と思いましたが、一人で踊るわけではないし、お稽古5回あるのでまぁいいか~と安請け合いをしてしました。
ここからが大変♪
看板を書いてくれる人がいないのよ~、典ちゃん、書いてくれない~~???
この縁展というのは、学習院美術部のOB・OGの方々が集まって美術作品を展示販売する会です。
すでにアーティストとして活躍している方々がほとんどの会です。
私の兄弟弟子に墨絵の先生がいるのですが、彼女は30才にして有名芸能人の舞台衣装の作品を手掛けていたり、有名企業の景品が彼女の作品だったりしています。
お師匠さんは舞踊家のほかにも版画を得意とされ、すでに3回個展を開いています。
あの~・・・私、学習院関係ないんですけど・・・
それに、まだ私の書は人前に出すような代物では・・・
個展まだひらいたことないし・・・
ハンガリーじゃ一応先生で有名でしたけどぉぉ。。。日本じゃまだだし・・・
と一度はお断りを入れたのですが。。。
「ハンガリーで頑張ってたんだし、作品出せ、といってるわけじゃないから、いいのよ、書いてよ~」
「いいじゃない、この縁展で書道家デビュー日本でしちゃいなさいよ~」
・・・・・・。
おそろしいことをいう人たちだよぉぉ~~っ。
というわけで、書道家としてデビューすることを決意し、踊りのお稽古とともに書でも参加することにしました。
看板は・・・・
木の板に直接書いてね♪
一発勝負の世界です!!
失敗は許されません。。
踊りのお稽古の前に、お稽古場の板を借りて、エイヤッ、もーどーでもいいや~っなんとかなれ~~っっ
当日、私の看板は入口にばっちり飾られていました。
そして、5回のお稽古だけで、人前で兄弟弟子と一緒に踊ってきました。ぜんぜん振付覚えていなくて・・・見よう見まねで・・・なんとか・・・
間違えても、すまして踊るのよっっ。。
この言葉を信じて・・・・踊ってきました。
私の筆の字の評判はというと、芸術眼を持つ方々が皆
とても上手な字ですね
とおっしゃっていただけました。
私の課題がここにあります。
小さいころから習字をしていたので、字を上手に書くことは、当り前です。
でも、そこに私の世界がどれだけ表現できているのか・・・・
今までは「私は筆字の職人である」という意識しか持たずにきました。
なぜなら、もっと年齢を重ねないとでてこない世界が書道にはあるからです。
私の大伯父からも、師範代とってから30年と言われてます。あと23年もあるのです。
こんなこと、あと10年もしたら言ってられなくなるわよ、あなたの字が貴重な存在になってしまうのだからっっ
そうなんです。私が認める書家の先生方って、もう80、90のお歳なので、どんどんいなくなってしまうんですよね・・・仕方ないことなのですが・・・
この先生方がいなくなると、確かに私の世代では・・・私のレベルでも貴重な存在になってくるのでしょうね・・・。
その貴重な存在になるまでに、なんとか私の書の世界も幅を持たせておかないと・・・
こんな気持ちにさせてもらえた、縁展の看板書きでした。
これが私の書道家デビューとし、今後一層精進していきたいと思います。