各企業海外への展開を真剣に考えるに当たって、当然経営者自身がグローバルな視野を持っていなければなりません。当社でもアジアでのビジネスを始めていますが、我々は本当にグローバルな市場で戦うだけの見識を持っているのだろうかと、自問しています。


私自身、ネット業界はともかくとしても、他の業界については、世界的な企業であっても名前すらよく知らないというケースがよくあります。これでは世界の人々と交わり、ビジネスを進めるに当たって、世界の常識が無いことに等しいでしょう。


そこで、色々な業界を世界レベルで見たときに、どのような企業が先頭を走っているのか、時々まとめてみたいと思います。第1回目の今回は、少し馴染みのある広告代理店業界です。数字は2008年度の売上総利益、カッコ内は売上総利益に占めるデジタル広告比です。



1位:WPPグループ(英)⇒136.0億ドル(15%)

2位:オムニコム・グループ(米)⇒133.6億ドル(16%)

3位:インターパブリックグループ(米)⇒69.6億ドル(14%)

4位:ピュブリシスグループ(仏)⇒69.0億ドル(19%)

5位:電通グループ(日)⇒33.0億ドル(1.8%)


出所:『AGENCY FAMILY TREES 2009』『AGENCY REPORT 2009』



WPPはヤング&ルビカムなどを傘下に持ち、Yahooと提携関係もあるグループ。日本でも有名なマッキャンはインターパブリックグループ傘下。ピュブリシスはグーグルと近い関係にあり、電通も資本参加しています。 この業界はメディア側の経済性の変化に伴い、世界的な合従連衡が進みつつあります。概ね4大グループに色分けされ、日本では圧倒的な強さの電通がどう食い込んでいくか、という構図です。


しかし、着目すべきはカッコ内のデジタル広告比。4大グループが14%以上なのに比べ、電通は1.8%。18%ではありません。1.8%です。世界的な規模でデジタルメディアとの提携合戦が起こっている状況にあって、電通の出遅れ感は否めません。ここからアジアでどれだけ頑張れるか。