更に移動して東メボンヘ。ヤショーヴァルマン1世が東西に造ったとされるバライのうち東バライは、今は村落と耕地になっている。そのメボン(中の島の祠堂)だった遺構がこれ。


この遺構は952年にラジェンドラヴァルマン2世(在位944-968)がシヴァ寺院として創建したとされる。当時の東バライは水を湛えていて基壇部に船着場が在り、次に訪れるプレループ寺院(東バライの南)と同様の様式で建てられている。

中央祠堂

東バライが在った場所の水田地帯

東メボンのほぼ真南に建てられたプレループ寺院
これはかなり大きい造りで、この階段も結構急傾斜

この石組は火葬を行なった場所で、寺院名称のプレループは火葬の意味。

頭頂部からの眺め、アンコールワットの在る方向

東バライが在った方向

プレループは東メボンの真南に位置し、両寺院とも祠堂の開口は東向き。

ここから真西に進んで、最後にタプロムに寄った。

タプロムの中心部

ガジュマルの巨木が遺構を覆っている

白人観光客に人気、映画『トゥームレイダー』が撮影された場所



タプロムはジャヤヴァルマン7世が仏教寺院として12世紀末に建立、後にヒンドゥー寺院に改装されたとする。

さて、この日はここまでで15時を過ぎていて、ホテルに戻ることに。

アンコールワットの外濠

シエムリアップの町に戻る入口にアンコール国立博物館が在るのだが、今回は見送り。
博物館も含め、まだまだ周辺エリアに見るべき遺構が在り、トンレサップ湖も目にしていない。

ま、今回は兎に角年内にバンコク往復が第一目的で、行けたらアンコールワットでものつもりで来たから事前の準備不足。
今年2023年5月のボロブドゥールとジョグジャカルタ地区は、ここ数年のシュリヴィジャヤ追跡の重要課題で気合が入っていたが、紀元前後から紀元5世紀頃の扶南(中心は現在のカンボジア南部のアンコールボレイ・プノムダーからヴェトナム側のオケオ周辺)の後、海上交易の焦点がチャイヤ-タクアパ或いはヤラン(パッタニー)-クダ(スンガイプタニ)などのマレー半島横断ルートに移って、扶南を倒した真臘(チェンラ)からアンコールと続く大陸部の流れはそれほど意識を向けていなかったのが事実。
まあボロブドゥールからプランバナンと巨大寺院遺構が造営された700年代後半から800年代前半、ジャワのシャイレーンドラに囚われていたジャヤヴァルマン2世が解放され(ジャワ勢力によって旧真臘地域に傀儡として立てられた可能性も有りそう)、802年頃にプノンクーレンで即位したのがクメール(アンコール)王朝の始めとなっているから、今一度中部ジャワからアンコール地区ヘの繋がりを見ることが必要かもの想いに至った。
ホテルに在ったアンコール国立博物館の英文リーフレットに、ジャヤヴァルマン2世はプノンクーレンで即位式を行なったが、その都はハリハララヤでシエムリアップの南東15キロのバコン寺院を中心とするロリュオス地区としている。ウィキでもこのバコン寺院にはボロブドゥールとの類似性が述べられている。

何にせよ、取り敢えず3泊の予定でシエムリアップに来たので、アンコール国立博物館と周辺エリアは改めて出直す事にした。
ホテルに戻って、翌日のバンコク戻りのバス便の算段をする。グーグルで見るとバンコクへのミニバスは、最初に降ろされた地点ではなく、少し町外れの位置。徒歩で10分強は掛かりそうだが、その方向に歩いてみると、途中に小さなエージェントが在って各方面のミニバスを扱っている看板。どんなものかと話してみると、バンコクまでUS16$で行けると言う。朝7時半にトゥクトゥクがホテルまでピックアップに行くからそれでバス乗り場まで行って、8時発のバス、ポイペトまで3時間で、自力で国境通過後タイ側のミニバスに乗り継ぐと言う、来たのと同じ流れでホテルピックアップも付いてしかも安い。バンコクでは1000バーツ払ったから約4000円、戻りは約2400円。

3日目の夕食はパブストリートの店、初日ほどの感動は無い。調理人が違うのか?
このテーブルの鉢植えが面白い、青磁の小壺に茶色釉を流すようにかけている。活けているのは稲のような植物?数年前のプノンペンでも感じたカンボジアの悪くない趣味。

翌日、バス乗り場は別のエージェントのオフィスの前。行き先ごとに、ミニバスが出発して行く。で、どっかで見た顔の運転手が居ると思ったら、ポイペトから来る時の車と同じ。今日は時間通り出発するのかと思ったら、やっぱり町中を周って、遅れてくる客を待って、9時前にシエムリアップを離れる。それでも、この運転手は結構速いので、11時半にはポイペトに着いた。

国境の橋から見る渓流

しかし、この日はタイ側の入国審査が長蛇の列。パスポート通過の窓口にカンボジアパスポート保持者も加わる(実際半分以上はカンボジア国籍の者)ので、結局ここで2時間以上かかった。延々と弱いエアコンだけの部屋を何度も折り返して続く列、話では500バーツ払うとVIPで別の窓口が有るらしい。整理している係に訊くと、今日は普段の倍ほどの込み具合で特別らしいが。
これ、カンボジアパスポートは別にしたらかなり違う。近隣のタイ側で働くカンボジア人は通行証で往来しているが、一般のカンボジア人はパスポートが必要とのこと。

結局、タイ側のミニバス乗り場にたどり着いたのは午後2時過ぎ、プラトゥーナム行きは直ぐ出るから乗れと、食べ物屋に寄る間も無く出発。
4時過ぎのドライブイン休憩でやっと麺にありつく。
それでも、5時過ぎにはチャチェンサオ辺りから夕方のラッシュ時間。
バンコクに入って、プラトゥーナムの手前、BTSのパヤタイ駅でミニバスを降りたのは午後7時だった。

タイ側入国審査が小一時間で済んでいれば、午後1時半にはアランヤプラテートを出発して、夕方のラッシュが始まる前の4時半から5時にバンコクに戻れたと思うが。

次回は飛行機もあるか、しかしシエムリアップは新空港になって30キロほど離れているし(旧空港は西バライの傍)、高めの運賃設定(プノンペン行きのほうが安い)で、時期とかルートとか工夫が必要かも。