プランバナン遺跡地区に来てみて、実は大乗仏教寺院がプランバナンより早い時期に多数造営されていたことを知った。
これまで思い込みで、現在のジョグジャカルタの北東郊外に在るプランバナン寺院周辺の平野にマタラム王国があり、例の《インド化された王権》のイメージでヒンドゥーを受容した王国が形成されていたところ、8世紀初期に中部ジャワ北岸(カリンガ)のプカロンガンあたりから勢力を伸ばしたシュリヴィジャ(大乗仏教主流)がマタラム王国と接触し、通婚などの友好的関係を築いて大乗仏教型の巨大モニュメントであるボロブドゥールを平野の北西側、プランバナン地区から約50キロ離れた場所に造営したと考えていた。
しかし、プランバナン周辺の遺構の形とその推定建造年代を見ると、プランバナンだけがヒンドゥー寺院で、創建は諸説あるもののラカイピカタンの時期9世紀中葉(AD835-856)の可能性が高い。
周辺遺構はほぼ大乗仏教寺院もしくは僧院で、8世紀後半のサンジャヤ王権第2代ラカイパナンカラン(在位AD760-775)の時期からプランバナン寺院造営までの間に建造されている。
つまり、マタラム王国の初期は大乗仏教を信奉しているのである。
カラサン寺院から600メートルほど北北東にあるのが、チャンディサリ
カラサン寺院からチャンディサリは歩いて数分だったが、次のプラオサン寺院はプランバナン寺院群の北端のチャンディセウから更に東北東に1キロほどの位置、チャンディサリから5キロ以上離れている。
ここも入場券売り場の女の子に頼むと、すぐにGrabバイクを呼んでくれた。